はじめに

「ETF」という言葉をご存知ですか? ETFは「上場投資信託(Exchange Traded Funds)」の略で、その名の通り、投資信託の一種です。上場株式を対象としているため、それらの重要な指針である日経平均株価(日経225)や東証株価指数(TOPIX)、海外では米ダウなど、各国を代表する企業を集めた指数をパッケージにした商品です。株式と同様、売買をすることができます。

資産運用の玄人が活用している投資方法という印象を持つ人も多いのですが、そんなことはありません。最近注目を浴びている、ロボットアドバイザー(ロボアド)の多くの商品もこのETFを扱っています。ETFは、消費者が世の中を変えていく力を持つこの時代において、日本でも近いうちに必ず資産運用を語るうえでの主役になるはずです。

ETFは「投資商品の世界選抜」といわれます。国内のみならず世界中の上場銘柄(米国株、米国社債、欧州株、新興国株など)を取り扱うことが可能で、投資対象の選択肢がとても豊富です。投資先進国のアメリカでは既にスタンダードな金融商品となっていて、市場規模は過去10年で7倍に拡大。その傾向はいまでも続いています。

世界のETF市場規模
米国ETF
出所:BlackRock Investment Institute調べ(2015年3月末)、投資信託協会資料より作成


海外の投資家がETFを支持する3つの理由

なぜETFの市場規模はこれほど大きくシェアを伸ばしているのでしょうか。それは、主に以下のような理由にあると考えられます。

1:低い運用コスト


ETFが投資家に支持される一番の理由は、運用コストの安さです。

仕組み的に通常の投資信託より運営コストが低いため、利用者の手数料が低く抑えられているのです。このため、一般的な投資信託からETFへと乗り換える動きがアメリカでは急速に行われたと言われています。

2:いつでも売買可能


ETFの大きなメリットとして、いつでも売買ができるという点があげられます。

株式市場に株として上場している投資信託なので、いつでも株と同じように低いコストで売り買いができます。これによって換金性や用途の自由度が高まります。

3:商品の透明性


ETFは一般の投資信託のようにポートフォリオ化した株式を保有していたりします。その保有するルールなどが明確になっています。例えば日経225の指数と同じ銘柄といった具合です。

なぜETFは日本であまり知られていない?

上記の理由からETFが世界的に普及している訳ですが、なぜ日本ではあまり知られていないのでしょうか。

日本でETFの認知度が低い理由は明確に存在しています。それは、ETFは販売コストをかけるのが難しい商品だからです。要するに証券会社が儲からない訳です。同じ理由はアメリカにもしばらくの間存在していましたが、アメリカの場合はFA(フィナンシャルアドバイザー)に投資相談をするのが一般的で、FAは顧客の資産が増えることを目的としたサービスを提供します。ここが日本との大きな違いといえるかもしれません。

日本の投資家は勧められるものを購入するのではなく、自ら勉強して選択していくことが求められます。ある意味では個人の投資リテラシーを高くしなければならない環境にあるのです。これからの資産運用では、世界に目を向けていく機会も増えるでしょう。

例えば、米国を代表する「S&P500ETF」を過去20年間で日経平均株価との上昇率を比較すると日経225の5.5%に対して356.7%と大きな差が出ています。(2015年1月時点)

出所:Yahoo Finance(US)のデータを基に作成

ある程度の経験を積んだ投資家であれば、日本だけを投資対象とした資産運用のリスクが年々高まり続けていることは感じているかもしれません。そのときにETFを使った海外への投資は、最もシンプルかつ低コストな方法の一つなのです。