はじめに

2016年にマイナス金利政策を導入した日銀

これまで日銀金融政策決定会合で決定された政策、黒田総裁の動きを簡単に振り返りましょう。

2013年3月に就任した黒田総裁は、2%の物価目標を2年程度で実現することを掲げ、「黒田バズーカ」とも呼ばれた大規模な金融緩和で国債などの買い入れを大幅に増やし、市場に大量の資金を供給する政策を打ち出しました。

2016年には経済活性化とデフレ脱却のためにマイナス金利付き量的・質的金融緩和が導入されました。これは日銀史上で初めてとなるマイナス金利政策の導入でした。

そして変動幅は2021年3月に0.2%から0.25%に引き上げられました。
日本は2022年も日銀が超低金利政策を維持している状況で、唯一のマイナス金利政策をしている国となりました。

一方、米国のフェデラルファンド(FF)金利は4.25%から4.50%まで急速に上昇。12月は0.5%の利上げでしたが、それまでは0.75%のトリプリ利上げとなっており、異次元の金融緩和から、経済正常化のために強い金融引き締めを続けるアメリカと日本の政策差と金利差が32年ぶりの歴史的円安を招く一因となったと言えます。

2022年は、財務省と日銀が24年ぶりとなる大規模なドル売り円買いの市場介入をおこなったことも為替市場で大きな出来事でした。

12月の日銀金融政策決定会合でサプライズ

日米金利差の拡大などによる円安進行、貿易赤字やコストプッシュインフレが日本経済や国民生活を圧迫する可能性が懸念されているなかでも、黒田総裁は2022年9月22日(木)の会見では「金利を引き上げることは当面ない」と明言していました。

しかし、総務省が11月18日(金)に発表した10月の消費者物価指数(CPI)の伸び率が1982年以来、40年8カ月ぶりの上昇率となり、インフレ懸念は加熱してきたといえます。そのような背景があったからか、日本銀行は12月19日(月)から20日(火)に開催された金融政策決定会合で、金融緩和の修正を決定しました。

長期金利の変動幅を従来のプラスマイナス0.25%程度から同0.5%程度に拡大するとのことです。現状維持が市場では織り込まれており、事前当局者から市場への対話もなかったのでサプライズとなり、事実上の利上げとなるこの変更は、市場では黒田ショックとも報じられる値動きとなりました。

12月20日(火)の前場の日本市場はプラス圏で推移していたのですが、サプライズを受けて急落。ニュースで東京証券取引所の電光掲示板が目まぐるしく動く映像をご覧になった方もいらっしゃると思います。

日経平均株価は一時800円を超える大幅な値下がりとなり、終値では前日比マイナス2.5%、669円安となりました。新興市場であるマザーズ指数はマイナス4.7%と、より大きな下落となっています。

ドル円は137円台から132円台へ円高進行、長期(10年)金利は0.25%から0.44%まで急上昇し、超低金利が逆風となっていたメガバンクや保険株は買われました。

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