はじめに

●投資信託選びのポイント1:信託報酬はできるだけ安いほうがいい
投資信託には、
・買うとき……販売手数料
・持っている間……信託報酬
・売るとき……信託財産留保額
という手数料がかかります。

このうち、販売手数料は無料のものが多く(つみたてNISAの場合すべて無料)、信託財産留保額もかからない投資信託が多くあります。しかし、信託報酬は持っている間ずっとかかります。インデックス型の信託報酬は比較的安くなっているとはいえ、その中でもできるだけ信託報酬の低いものを選んだほうがいいでしょう。

たとえば、信託報酬1%の投資信託と、信託報酬0.1%の投資信託をそれぞれ100万円ずつ購入し、年利3%で運用できたとします。信託報酬がわずか0.9%違うだけですが、20年後の投資の成果には28.5万円の差が生まれる計算です。信託報酬の違いは、投資が長期になればなるほど大きな差となってあらわれます。

投資信託の運用成績がどうなるかは、投資の結果ですから、誰にもわかりません。しかし、運用成績が良くても悪くても、信託報酬は必ず支払います。そして信託報酬の安い商品は自分で選ぶことができます。ですから、なるべく安いものを選びましょう。インデックス型・バランス型の信託報酬の目安としては0.1%~0.3%程度。これ以上高いものを選ぶ必要はありません。

●投資信託選びのポイント2:市場全体をカバーできる指標ほどいい
投資先の指標はなるべく多くの銘柄を組み入れている、市場全体をカバーできるものを選びましょう。たとえば、NYダウは米国を代表する30銘柄の値動きをもとに算出していますが、S&P500はニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック(NASDAQ)に上場する銘柄のうち、時価総額の大きい500社を選んで算出しています。この場合、NYダウよりもS&P500に投資する投資信託を選んだ方が、広く分散投資の効果を受けられると考えられます。実際、米国株式市場カバー率はNYダウで約25%、S&P500は約80%と、S&P500の方が高くなっています。その分、市場の動向を的確に反映していると考えられます。

お金を積極的に増やす観点からは、世界経済の成長を享受できる「全世界株」や世界経済の中心・米国の成長の力を借りられる「米国株」の指標に投資するのがおすすめです。

世界の経済成長率は、年によりばらつきがありますが、おおむねプラス成長になっています。また、フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏の提唱した「r>g」という不等式は、投資のリターン(r)が経済成長率(g)より大きくなることを示しています。つまり、投資をすれば経済成長率を超えたリターンが得られるだろう、というわけです。

全世界株・米国株に広く投資する指標には、次のようなものがあります。

【全世界株】
FTSE Global All Cap:世界48カ国の大中小型株9500銘柄で構成
MSCI ACWI:世界47カ国の大中型株3000銘柄で構成
【米国株】
CRSP US Total Market:米国の大中小型株4000銘柄で構成
S&P500:NY・ナスダック両証券取引所から選抜した500銘柄で構成

●投資信託選びのポイント3:中長期的に運用実績が堅調だといい
投資信託の値段を表す「基準価額」が右肩上がりになっている投資信託をチェックしましょう。運用成績がいい投資信託は資産が増え、投資信託の規模が大きくなれば投資信託は運用しやすくなって利益を出しやすくなっていきます。できれば5年、10年と中長期で堅調な成績を出している投資信託を選ぶとよいでしょう。

●投資信託選びのポイント4:トラッキングエラーは低いほうがいい
トラッキングエラーは、ベンチマークと投資信託の値動きの差を数値で表したものです。トラッキングラーが低いほど、ベンチマークとする指標と連動していることを表します。

●投資信託選びのポイント5:純資産総額は増えているほうがいい
純資産総額は、投資信託が組み入れている株式や債券などの資産の合計金額(時価総額)。投資信託の規模、大きさを示す金額です。インデックス型・バランス型の場合、純資産総額は最低でも50億円以上あるのが望ましいところです。

純資産総額が少ないと、投資信託が目指す分散投資がしにくく、運用実績に影響が出てくる恐れがあります。また、投資先の株などの資産を購入するときの売買手数料にボリュームディスカウントが効きにくくなるため、信託報酬が増える可能性もあります。

さらに、純資産総額があまりにも低いままだと、途中で運用を中止する「繰上償還」が行われてしまう可能性もあります。繰上償還が行われたときに含み損を抱えている場合、損失が一気に確定してしまいます。

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