はじめに
4. 投信積立を活用する
これから投資を始める方は、まずは投資信託を活用するのが良いと思います。投資信託とは、多くの投資家から資金を集めて、まとまった資金で投資を行い、投資家ごとの出資分に応じて損益を受けとる仕組みの商品です。この商品を活用すると、上述した分散投資が少額から実現できます。例えば、日経平均に連動する投資信託を購入するとそれだけで日経平均に採用されている225銘柄に分散投資をしているのと同じ効果を得ることができます。その他にも例えば米国のS&P500やNASDAQ総合指数に連動するもの、債券指数に連動するものなどたくさんありますのでこれらを組み合わせて手軽に分散投資を実現できます。
また、投資方法としては積立投資を行うのがお勧めです。積立投資とは定期的に決まった金額で買付を行う投資手法で、例えば「毎月1回決まった日に3万円分この投資信託を購入する」といった設定が可能です。積立投資のメリットはいくつもありますが、その中の1つが「無理なく投資を続けられる仕組みとなる」ということです。
投資をしていると、評価損が拡大したときや他のことにお金を使いたいときなど様々な「投資をやめるための誘惑」に駆られることがあります。そうしたときに投資をやめてしまうのはとてももったいないことなので、ぜひ積立投資の枠組みを活用して投資を長期的に継続していただければと思います。
5. コストは低く!
投資を行う上ではできる限りコストを低くすることを意識しましょう。例えば投資信託では、購入時にかかる「申込手数料」や保有している限り負担することになる「信託報酬」が主なコストとなります。最近は「申込手数料」は無料のネット証券やネット銀行等が多くありますので活用しましょう。
「信託報酬」は同じ投資信託であればどの金融機関で購入しても同率ですが、長い期間投資信託を保有するとパフォーマンスに大きな影響があるので、ご自身が投資されたい投資対象に投資している投資信託の中から、できる限り低いものを選ぶようにしましょう。信託報酬が投資損益に与える影響について、以下のグラフを作成しました。
運用損益の影響がないと仮定すると、信託報酬が0.5%の場合は20年後の元本100が90程度ですが、信託報酬が2%の場合には65近くまで下がっています。つまり35程度がコストとしてかかっていることになります。もちろん現実には運用損益があるので、コストが高い投資信託のほうがパフォーマンスは良くなる可能性もありますが、少なくともこれほど大きな違いが出るというのは認識しておくべきでしょう。
これまで投資デビューする方にぜひ押さえていただきたい5つのポイントを見てきました。これらのポイントを意識していただければ、投資で大やけどをする可能性を低くすることができると思います。2024年から新NISA制度がスタートするなど、投資を行うメリットはますます増えてきています。ぜひ適切な方法で投資デビューし、資産形成を実現していただければと思います。