三越伊勢丹はなぜトップから陥落したのか?
GINZA SIXに見る百貨店業界の今
三越伊勢丹が百貨店業界の時価総額トップの座をJ.フロント リテイリングに明け渡しました。三越伊勢丹では成長戦略を描いてきた大西洋前社長の戦略を改め、杉江俊彦新社長の下で構造改革を進めることをアピールしています。一方でトップに立ったJ.フロント リテイリングといえば、大阪の大丸と名古屋の松坂屋が持ち株会社化した、どちらかというと地味な存在の企業です。そこが三越伊勢丹や高島屋を抑えて百貨店業界のトップに立ったわけです。百貨店業界に何が起きているのでしょうか?
アップルが10億ドルファンドを始めた政治的な理由
トランプ大統領との関係性とは
iPhoneのアップルがアメリカ国内での先進的なものづくり支援を目的に10億ドル(約1,130億円)のファンドを作ると発表しました。「アメリカ製造業の雇用創出を目指す」と言います。ほかにもiPhoneの生産委託先である鴻海精密工業が新しい工場をアメリカに建設する動きもあります。その背景にあるのはドナルド・トランプ大統領の存在です。アメリカに雇用を生むことを政策の第一目標とするトランプ大統領は、海外に利益を移転するグローバル企業に厳しい目を向けています。そのせめぎ合いの中心にいるアップルの状況をまとめてみましょう。
ヤフー株急落、しかし本当の業績はどうなのか?
初の最終減益には理由があった
4月27日の株式市場において、ヤフー株が一時10%安と急落しました。その理由は前日に明らかになった決算です。事前には増益予想だったヤフーですが、蓋を開けてみれば上場来初めての最終減益という結果に。さらに営業利益は今期に続いて来期も営業減益になるという見通しが発表されました。実は、ヤフーは個人的にとても注目している会社です。株式投資をしているわけではありませんが、インターネット通販とオークションを非常によく利用しているからです。そのような興味から、今回のヤフーの決算についてコンサルタント視点で読み込んでみました。
吉野家の株を手放すかどうか、という悩みを紐解く計算式
実例から“塩漬け株”の経済性を考える
まったくもって個人的な悩みなのですが、超長期で保有している吉野家の株を手放すかどうか考えています。学生時代から大好きな牛丼屋さんの単位株を、株主優待券目的で購入したのがもう30年も前のこと。それ以来ずっと持ち続けてきた株なのですが、なんとなく社会的地位もできあがってきた50代のおじさんとしては、牛丼を食べるたびに優待券を出すという仕草があまりかっこよくない……と思い始めてきたことが売却を検討しはじめた理由です。そして、なにを悩んでいるのかというと、これまでの投資がプラスなのか、マイナスなのかが簡単には計算できないということです。今、仮に30年間保有してきた吉野家株を売却したとしたら、投資結果はプラスなのか、マイナスなのか。みなさんと一緒に考えてみましょう。
プラダがネット通販強化 高級ブランドはどう変わるのか?
ネットシフトを後押しする最新事情
日経新聞の報道によると、イタリアの高級ブランド「プラダ」がネット通販を強化するそうです。欧米や日本で展開している通販サイトを、中国、ロシア、韓国に広げるという計画です。高級ブランドとして成功してきたプラダも、2014年1月期をピークに業績は頭打ち。この状況を打開する必要があると考えられた打ち手が、このネット通販の強化だといいます。業績が悪化したのでネット通販を行うということだけであれば、さほど目新しいニュースではありませんが、プラダなど高級ブランドを取り巻く背景はこれまでと少し違っています。時代を知る4つのキーワードから、今回のニュースを解説してみたいと思います。
アマゾンの「当日配送サービス」は消えてしまうのか?
ヤマト撤退で考えられる3つのシナリオ
ヤマト運輸が、これまで重要取引先だったアマゾンドットコムの荷物のうち「当日配送サービス」の引き受けから撤退する方針を固めました。同社では、人手不足による従業員の過重労働が問題になっていましたが、いよいよアマゾンとの取り引きを抜本的に見直すことにしたようです。通販のヘビーユーザーにとっては便利なサービスだったアマゾンプライムも、今回のヤマトの撤退によって見直しが必至だと言われています。ヤマトはどう動くのか、そして通販の未来はどうなるのか。状況をまとめてみます。
てるみくらぶ破産を受けて補償サービスは伸びるのか?
H.I.S.お見舞い金サービスの可能性
海外旅行の格安ツアーを手がける「てるみくらぶ」が東京地裁に自己破産を申請しました。負債額は約151億円。旅行者からは約100億円分の代金を受け取ったままで、航空券が発行不能になったり、ホテルがキャンセルとなったり、その被害を受ける人は合計3万6,000人にのぼるといいます。ちょうど春休みからゴールデンウィークにかけての旅行を楽しみにしていた人たちに、この経営破綻の影響が直撃することになりました。格安なサービスには思わぬ落とし穴があるということを、改めて浮き彫りにした今回の事態。そんななか、旅行業界最大手のH.I.S.が国内線航空券の欠航・遅延に対するお見舞い金サービスを始めるとアナウンスしました。この補償サービスには、どのような意味があるのか。まとめてみたいと思います。
リクルートが駐車場シェアに参入、大手各社が市場攻略を狙う
日本でも広がるシェアリングエコノミー
不動産情報サイト「SUUMO」を運営するリクルート住まいカンパニーが駐車場のシェアリングサービスを始めると発表しました。駐車場のシェア事業には、すでに三井不動産や楽天も参入。大手各社が相次いでこのビジネスに着手しているのにはどんな理由があるのでしょうか? シェアリングエコノミーのビジネスモデルについて解説しながら、この競争の背景を探っていきましょう。
「トランプ相場」に日本が乗り遅れる深刻な2つの理由
なぜ米国株の上昇ばかり続くのか?
2017年に入り、米国株と日本株の格差がいっそう開いてきました。トランプ相場で順調に上昇を続ける米国株に対して、上昇率が徐々に頭打ちになってきた日本株。この格差は、なぜ生じているのでしょうか? 時価総額トップ5の顔ぶれから垣間見える日米株価事情の違いを、整理してみましょう。
セブンプレミアムが今、生鮮食品に手を広げる意外な理由
イトーヨーカドー復活の起爆剤となるか
セブン&アイ・ホールディングスは、9日に開催した記者会見にて、グループ共通のプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の商品ラインナップに新たに生鮮品を加えることを発表しました。2007年5月の登場以降、その商品をぐんぐん拡大してきた人気のセブンプレミアムが、今このタイミングで生鮮品を取り扱い始める理由は? セブン&アイをとりまく環境含め、深層の経営事情を解説したいと思います。
ファスナー界の巨人「YKK」が挑む、“安さ”の追求
業界の雄が今、低価格市場で戦う意味
国内ファスナー市場トップで、世界シェア4割を占める「YKK」が新たな4カ年計画を発表しました。そのなかのある意思表明が注目されています。YKKは高級路線に逃げず、汎用品市場に本格的な戦いを挑むというのです。中国産の低価格・低コストの商品と日本の高級ファスナーメーカーが戦うことができるのか? 今回の宣言の背景を探ります。
IKEA、ネット通販に本格参入 その恩恵を受けるのは?
顧客体験が変わると業績も変わるか
「IKEA」が、4月から本格的なネット通販を始めると発表した。日本では2006年に1号店が船橋に誕生して以来、全国に9店舗を展開している。低価格なうえに北欧らしいすばらしいデザインの家具が買えるということでIKEAは一躍有名に。一時期は客が押し寄せ、週末には店舗周辺で「IKEA渋滞」が起きるとまで言われたが、実は直近の業績はやや減速していたようだ。気になるその減速の理由、そして通販がIKEAに再成長をもたらすのか。状況をまとめてみよう。
ソニー本気のライブ事業、ホール新設の先にある狙い
音楽市場をけん引する「コト消費」
ソニーがライブ事業の拡充に力を入れています。音楽市場では、2014年にCDなどの音楽ソフトの生産額をライブ売上が上回りました。現在の年間ライブ市場は3,000億円を超え、5年前の倍の大きさにまで成長。ソニー・ミュージックエンタテインメントは日本で唯一のライブホールを全国展開する子会社を持っています。ソニーはライブ市場の先になにを狙っているのでしょうか?
バブルは大丈夫? 最高額の不動産融資、幾ばくかの懸念
ブームを支えるREITの仕組み
銀行が不動産目的の投資家にお金を貸し出した「不動産融資」の金額が過去最高になったそうです。日銀が発表した「貸出先別貸出金」によると、不動産向けの貸出残高合計は昨年末時点で約70兆3600億円と、統計がさかのぼれる過去40年で最高の金額になりました。不動産融資の額が増えているということは、ほぼイコールで不動産を買う人が増えているということです。どうしてなのでしょうか? そして、この状況は1990年前後の「バブル」の再来なのか。簡単に状況をまとめてみました。
iPhoneの正規中古品が日本に本格登場する意味
拡大する格安スマホ市場の新たな選択肢
日経新聞によると、ケーブルテレビ大手のジュピターテレコム(J:COM)が、「iPhone6s」の正規中古品の取り扱いを始めたそうだ。月額980円からサービスを展開するJ:COM MOBILEの選択肢としてiPhoneが新たに加わるというニュースである。ビックカメラやLINEモバイル、楽天モバイルなど各社の参入で市場が広がっている格安SIMだが、「中古のiPhoneでも使えるのかどうかよくわからない」という消費者の声は少なくない。実際に、使えたり使えなかったりするし、後述するような思わぬ落とし穴もある。正規中古品のiPhone流通開始が意味することはなにか? まとめてみたい。
プレミアムフライデーは現代の“ハナキン”となるか
狙うべきはシニア層、その理由
2月24日から経産省と経団連が提唱する「プレミアムフライデー」が始まる。毎月最後の金曜日、大企業が従業員に対して15時退社を呼びかける新しい制度だ。昨今の「働き方改革」や「ブラック企業批判」に応えるかたちで労働時間を減らす効果とともに、新たな消費行動が生まれることでの経済へのプラス効果が期待されている。このプレミアムフライデーは、どのようなビジネスチャンスにつながるのか? その展望をまとめてみよう。
激変する日本のコーヒービジネス、生き残るのは?
セブン、コーヒーサーバー刷新の狙い
コーヒーは私にとって、とても身近な飲み物だ。小学生のとき、クリスマスに塾の先生がインスタントコーヒーを淹れてくれたのが初体験で、それ以来、私の生活はコーヒーにどっぷりと浸かっている。私の場合、スターバックスコーヒーが生活の中心にあるのだが、世の中にはいろいろなかたちでコーヒーの世界が広がっている。たまたま新聞でコーヒーにまつわるニュースが3つ、目に入ったので、最近のコーヒー事情についてまとめてみよう。
大手ビール4社の新ブランド投入が今年はゼロな理由
脱ガラパゴス、ビール回帰の幕開け
日本人のビール離れが止まらない。2016年のビール系飲料(ビール・発泡酒・新ジャンル)の課税出荷数量は前年比2.4%減、市場は12年連続の前年割れとなりました。そんななか国内ビール大手4社の2017年の事業方針が出揃いました。そのなかで目を引いたのは、各社とも今年は「新ブランドを投入しない計画」だということです。ビール業界といえば毎年、新ブランドが大々的に誕生し、広告宣伝合戦がにぎやかに繰り広げられるイメージがあります。昨年はアサヒビールから「ザ・ドリーム」が登場し、一昨年はサントリーが「ザ・モルツ」を投入しました。発泡酒や第三のビールでも毎年のように新しいブランドが登場しては市場ににぎわいを加えてきたものです。そのビール業界において、大手4社がこぞって「新ブランドを投入しない」というのはどうしてなのでしょうか?