10月の株式相場、底堅い株価推移に潜む“不都合な真実”
米雇用統計に落ちる不穏な影
いくつかの主要な景気指標の悪化から、米国株は10月になった途端に大幅安に見舞われましたが、現在は持ち直しています。背景の1つは、同月4日に発表された雇用統計でしょう。9月の雇用統計が警戒したほど悪くないとの見方から景気後退の懸念が和らぎ、株式相場の反発につながりました。9月の雇用統計では非農業部門の雇用者数は予想を下回りましたが、過去分が上方修正されました。失業率は3.5%に低下し、半世紀ぶりの低い水準となりました。好悪材料が入り交じる結果となったことで、市場ではかつてのような、熱過ぎでも冷め過ぎでもなく、ちょうど良い加減の「ゴルディロックス」の状態になったとの見方が浮上しました。はたして、適温相場はどこまで続くのでしょうか。9月雇用統計の中身を読み解くことから、株式市場の先行きについて考えてみます。
秋が深まると株式投資を始めるのに適している、たった1つの理由
過去10年の実績から導き出すと…
皆さんは「アノマリー」という言葉を聞いたことがありますか。投資の世界では「理屈や理論では説明できないが、経験的に観察される規則性」のことを指しています。たとえば「2日新甫(しんぽ)は荒れやすい」という相場格言があります。これは1日が土日や祝日などで取引がなく、2日から取引が始まる月の相場は大きな値動きになりやすいということを指しています。当然、理論的根拠はありませんが、マーケットに関する仕事をしていると、確かに2日に取引が始まる月は株価がよく動くなと思うことがあります。ちなみに、2019年の2日新甫は9月(今月)と12月のみです。9月は日経平均株価が10連騰し2万2,000円を一時回復するなど、これまでのところは順調に来ています。月末にかけて、まさかの波乱があるのでしょうか。
景気後退も近い?「株式市場の賞味期限」はいつか
強気ストラテジストが懸念する予兆
世間では、景気後退の“予兆”とされる「米国債の逆イールド発生」が大きな話題になっています。確かに、過去には逆イールドが発生してから1年半程度で景気後退になってきました。しかし、逆イールドが発生したから、という理由で景気が後退するものではありません。逆イールドと景気後退との間に、因果関係はありません。この点は過去に何度もレポートしています。しかし、逆イールドは今回もまた、“結果的に”景気後退の予兆となってしまうかもしれません。というのは、今後1年半程度で米国の景気が相当減速する可能性が高いと思われるからです。
日本企業の決算発表を踏まえ、今後取るべき投資戦略は?
約2400社を集計
3月決算の上場企業の第1四半期の決算発表が出揃いました。米中貿易戦争による両国経済や世界経済の失速、また円高進行などから厳しい内容になると見込まれていましたが、やはり苦しい決算となりました。今回は第1四半期の決算発表の概要をお伝えするとともに、そこから見えてくる今後の投資戦略のヒントを探りたいと思います。
日経報道は大げさ?直近決算で見えた日本株「最新投資戦略」
日本株“2ケタ減益”は真実か
2019年4~6月期の決算発表もほぼ一巡しました。日本経済新聞は先週金曜日の1面で「上場企業の2019年4~6月期の純利益は前年同期比14%減と3四半期連続で減益となった」と報じました。おそらく今週末には詳細な集計結果が掲載されることでしょう。ただ、2ケタ減益というのは少し過大な印象を受けます。もちろん、集計対象企業が異なれば、結果はいくらでも違います。純利益が前年同期比3.6倍の1兆1,217億円となったソフトバンクグループなどを対象から外しているのかもしれません。そこで今回は、4~6月期決算の実態がどうなっていて、それを踏まえて当面の間、どのような投資戦略で臨むべきか、考えてみたいと思います。
日本株vs米国株、長期的な投資魅力があるのはどっち?
過去30年の実績を比べてみた
米国株が上昇しています。ニューヨークダウ平均、S&P500、ナスダック総合指数などの主要な株価指数は、そろって7月に史上最高値を更新しました。一方で、日本株は大きく下落しているわけではありませんが、上昇に勢いはありません。たとえば日経平均株価は昨年10月2日に2万4,270円の高値をつけましたが、現在はその高値から10%以上も下落した水準にあります。このように現在、短期的に米国株が日本株のパフォーマンスを上回っています。それでは長期的に見てみると、どうでしょうか。
いよいよ利下げ?重要経済指数から読み解く米国株の今後
米国は企業減益でも株高
ISM、NFP、CPI ‐ これらアルファベット3文字がそれぞれ何の略だかおわかりですか?ISMはInstitute for Supply Management(全米サプライマネジメント協会)、 NFPはNonfarm Payroll(非農業部門雇用者数)、CPIはConsumer Price Index(消費者物価指数)の略です。実はこれらは(ISMはISM製造業景気指数)、予想を公表しているエコノミストの数が多いトップ3の経済指標です。すなわち米国経済の実態を測るとき、誰もが参照する重要経済指標だということです。今回は、これらの指標から米国景気の先行きを考えます。
アメリカの雇用統計が日本でも注目される理由
7月5日に最新統計が発表
ニュース番組などを見ていて、「アメリカの雇用統計が発表されました」というフレーズを聞いたことがある方もいるかもしれません。筆者の所属するマネックス証券もそうですが、「雇用統計実況中継」などのタイトルで雇用統計の発表をネットで生配信する証券会社も多いことから、雇用統計についてはご存じの方も多いのではないでしょうか。アメリカの雇用統計は、非常に重要視されている経済指標です。6月分は日本時間の7月5日21時30分に公表されます。今回は、なぜ米国の雇用統計がこれほどまで重要視されるのか解説します。
今宵は歴史的なFOMC、マネックス広木氏の直前予測は?
FRBは利下げに踏み切るか
非常にタイミングの悪い時に、小欄執筆の順番が回ってきました。今日はなんと言っても、FOMC(米連邦公開市場委員会)の話題に触れないわけにはいきません。なにしろFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げに踏み切るのかを探る重要な会合です。後世から見れば、歴史的なFOMCになると言っても過言ではありません。数時間後にはFOMCの結果が判明しています。まったく的外れのことを書いていたら、どうぞ笑ってお許しください。
不安定な株式市場で知っておきたい2つの銘柄特性
世界的な景気停滞への警戒強まる
貿易をめぐる米中の対立、いわゆる「米中貿易戦争」が激化しています。両国の対立は本質的には非常に根深く、短期間で解決する問題ではありません。このような波乱含みのマーケットで、投資経験の浅い方にぜひ覚えておいていただきたいキーワードが、2つ存在します。この2つのキーワードを念頭に置いて銘柄を選ぶと、どんな効果が期待できるのでしょうか。
企業業績の「2期連続減益」観測は実際どれだけヤバいのか
3月期企業の業績計画を読み解く
5月20日に発表された1~3月期の国内総生産(GDP)は、マイナス成長を見込んでいた市場の予想に反して、前期比プラス0.5%、年率プラス2.1%(実質、季節調整済み)となりました。これを受けた週明けの株式市場は買いが先行し、日経平均株価は一時、前週末の終値に比べて約180円高まで上昇する場面がありました。これは文字通り、機械的な反応でしょう。指標が市場の予想を上回るか下回るかで、自動的に買い/売りを発動するアルゴリズム取引によるものだと類推されます。あるいは、GDPが下振れすることに賭けていた向きの買い戻しでしょう。というのは、GDPの中身は決して評価できるようなものではなかったからです。「個人消費」と「設備投資」は伸びず、内需の弱さから「輸入」が大きく落ち込んだため、形のうえでは外需が成長に寄与した格好になっていますが、「輸出」も減少しており、外需が好調とはとても言えません。日本の景気は弱含んでいるというのが実相でしょう。ニュースのヘッドラインだけで判断できないのは、GDPのようなマクロの統計だけでなく、ミクロの企業業績についても言えます。3月期決算発表も一段落し、先日、新聞に企業業
決算発表がピーク、投資成果に結びつけるためのポイントは?
10連休は無事に通過…と思いきや
4月27日に始まった10連休もあっという間に過ぎ去りました。日本の連休中の米国株式市場は順調に上昇したことから、連休明けは日本株も上昇して始まりそうだなと思っていたら、事態は急転。ドナルド・トランプ大統領が突如「現在10%の中国からの輸入品の関税率を5月10日から25%に引き上げる」とツイートしました。これを受け、5月6日の中国市場で代表的な株価指数である上海総合指数は6%近い暴落となり、米国市場でダウ平均も一時500ドル安近くまで下落しました。米中交渉は順調に進んでいて妥結も間近とみられていましたから、急な事態の変化が驚きを持って迎えられました。米中の対立は根深く、まだまだ波乱含みの交渉が続きそうです。一方、10連休が明け、企業の決算発表がピークを迎えています。日本の上場企業の多くは3月末決算を採用しているため、4月末から5月中旬にかけて本決算の発表が行われます。今年は、上述した米中の貿易対立に伴い、中国の景気が鈍化した影響から、日本企業の業績が不安視されてきました。そのため、普段より一層決算発表への注目が高まっています。そこで、企業の決算発表を投資成果に結びつけるうえで大切なポイン
ようやく動き始めた日本株、相場の潮目もこのまま変わる?
世界はとっくにリスクオン全開
日経平均株価は上値抵抗ラインだった200日移動平均を一気に上抜けて、節目の2万2,000円の大台回復を果たしました。その後も堅調に推移し、4月17日時点で5営業日続伸です。これ自体は喜ばしいことですが、正直、「遅ればせながら、やっと」という感が否めません。というのは、世界のマーケットはとっくに積極的にリスクを取る動き、いわゆる「リスクオン」モード全開だったからです。
脱・運頼み投資!長期運用に欠かせない「投資関連本」3選
“投資の伝道師”が自信の推奨
以前の連載記事において、筆者がお会いした長期的に投資で成功している方の特徴をご紹介しました。その中でポイントの2つ目に挙げたのが「常に学ぶ」ことでした。本当に、私がお会いした成功者の皆さんは例外なく、継続的な学びを続けていらっしゃいます。そういった姿勢に触れると、私自身ももっと勉強せねばという思いを強くします。株式投資の世界は、どれだけ勉強してもそれが必ずしも成果に結びつくわけではありません。ものすごく時間をかけて精緻な分析を行って投資した銘柄の株価が下落することもあれば、逆にまったく勉強せずに選んだ銘柄がたまたま運良く大幅に上昇することもあるでしょう。株式投資がギャンブルに近いと思われている理由の1つはこういったところにもあるのかもしれません。それでも私は株式投資で成功するためには継続的な学びを続けることが必須であると強く信じています。運頼みの投資は長続きしません。逆に不運に見舞われることも当然あります。継続的な学びを続けていてこそ、不運に見舞われた際のダメージを小さくし、幸運が舞い降りたときのリターンを増やすことができると思います。
「中国景気の減速」というの、そろそろやめませんか?
経済成長と景気循環は別の話
「中国景気の減速」という言葉は、最近、枕詞のように使われています。「中国景気の減速で」日本の輸出が落ち込んだ、「中国景気の減速で」上場企業の業績が大幅減益となった、等々です。どんな悪いことも、とりあえず「中国景気の減速で」と言っておけば説明がつけられそうな風潮です。たしかに、中国の景気は芳しくありません。2018年の実質国内総生産(GDP)成長率は6.6%と28年ぶりの低水準でした。2月の輸出は前年比で2割も減少、1~2月の工業生産の伸びもリーマン・ショック直後以来、10年ぶりの低水準でした。
株式投資で大成功している人に共通する3つのポイント
著名投資家に直接インタビュー
筆者は以前から株式投資で成功を続けている色々な投資家の方にインタビューし、マネックス証券のお客様にインタビュー内容をご紹介してきました。筆者自身も、お話を伺ったことで大変多くの学びをいただき、その内容をご紹介したお客様からも大反響をいただきました。今回は、そんな過去のインタビューから、成功を続けている投資家の方々に共通すると感じた3つのポイントをご紹介します。
「バブル後最高値」の更新も?ようやくエンジンがかかり始めた日本株
足元が冴えない理由を探る
前回の記事(「底入れした株式市場は高値を取り戻せるのか?」)では、米国のダウ平均が半値戻しを達成したタイミングで「半値戻しは全値戻し」という相場格言をご紹介しました。その後もダウ平均は力強く戻り歩調を辿って、昨年秋から急落した分の8割以上を取り戻しています。あと3.6%上昇すれば再び史上最高値更新、まさに「半値戻しは全値戻し」という格言を地で行く相場展開になっています。それに引き換え、日経平均の戻りの鈍さが際立ちます。先週は2営業日で800円も上昇する場面があったり、今週に入って昨日まで3連騰と、ようやくエンジンがかかってきた感はありますが、それでも昨年秋の高値からの下げ幅に対して半分も戻せていません。
追悼ジョン・ボーグル氏、資産運用に革命をもたらしたその偉業
インデックス・ファンドの父
以前の筆者の記事で「ウォーレン・バフェットが薦める投資法 」をご紹介しました。それは今後も長期的な経済成長が期待できる米国の株価指数であるS&P500に連動するインデックス・ファンドを購入することでした。今では誰もが当たり前のように低コストで資産運用に活用できるインデックス・ファンド。ではそれを世に送り出したのはいつ、誰なのかご存じでしょうか?