はじめに

その3:アービトラージ戦略

売却の戦略です。不動産というのは、未来永劫、同じパフォーマンスが期待できる資産ではありません。どこかで売却しなければいけません。

アービトラージとは何か。値付けルールが違う市場の間で取引することによって、リスクなくリターンを増やす行為のことをアービトラージといいます。

アービトラージがどこにあるのかを考えて商品組成をします。金融の世界で常識的なアービトラージは、当然、不動産業界の中でもいくつか存在しています。そうすると、投資家が売却戦略を考えるにあたって、このアービトラージを活用するのとしないのでは、その売却の効率は違うのです。

いくつか値付けルールの違いがあります。例えば、新築物件と中古物件では、明らかに値付けのルールが違います。

例えば、築1年で4,900万のファミリーマンションがあったとします。築2年になると4,800万になるとします。その物件の新築需要時はいくらですか。築1年で4,900万、築2年で4,800万であれば、5,000万でなければおかしいですよね。でも、日本には新築プレミアムという謎の存在があることによって、5,600万、5,800万で売られているのです。明らかにアービトラージです。そこを突けばもうかる、それをやっているのが住宅のリノベーション会社なのです。

新築物件は高すぎて買えないから、中古物件を直せば新築のようになるから、新築を買いたい人に売るのです。新築よりは安いから、利益を乗せてさやが抜けるのです。これが1つのアービトラージです。

いくつかのアービトラージがありますが、時間アービトラージというのがあります。不動産というのは上がったり下がったりします。なぜ上がったり下がったりするか。これは値付けのルールが変わるからです。これがアービトラージそのものなのです。

値付けのルールの何が変わるかというと、投資家さまの期待利回りが変わるのです。バブルになって盛り上がってくると、投資家さまは低いリターンでも許容するようになります。不動産バブルの絶頂期は、2%でも買えるという時代でした。バブルがはじけると、リスクに慎重になって10%は欲しいと言い出すので、そういう物件が出るようになりました。

リーマンショックのときは3%ぐらいでも許容できるようになりました。それがサブプライム問題やリーマンショックがあり10%のマーケットになりました。アベノミクスが始まってオリンピック景気が復活して、今は6%ぐらいのマーケットになっています。大体、関東の投資家さんの期待利回りは10%と2%の間で行ったり来たりしているのです。その結果、価格が決まるのです。

不動産の価格というのは、その物件から取れる賃料を、投資家さまが期待する利回りで割ることによって求められます。年間100万という賃料を、バブルの絶頂期のように2%でも買うというマーケットだったら、この不動産は5,000万ということです。

バブルがはじけて投資家さまの目線が変わって10%欲しいと言い出すとどうなるか。同じ不動産のはずなのに、この物件の価格は5分の1になってしまいます。投資家さまの期待利回りと価格には反比例する関係があるのです。今は10%から6%まで盛り上がっているので、不動産の価格は上がっており、ミニバブルじゃないかという話にもなっています。

見ていただいて分かるとおり、大体10%と2%の間で行ったり来たりしているのです。オリンピックもあって、世界の中で一番安いというポジションもあるという感じで、悪くても4%ぐらいはいくのではないかと多くの方が思っています。

それによって、投資家さまの期待利回りと価格が反比例するのであれば、今の6%のマーケットから、オリンピックに向けて4%のマーケットまでだと、分母は3分の2になるということです。つまり、価格が1.5倍になるということです。これがいわゆるアービトラージの1つの理念なのです。

では、その時期をどうやって確定するか。不動産というのは上がったり下がったりするのですが、最後の出口、本当にピークというのは神様でない限り分かりません。もし、オリンピック後に下がると思えば、怖いから2019年に売り抜けようと思いませんか。そうすると、どこがピークか分からなくなってしまうのです。そのピークをしっかりつかまえないと、キャピタルゲインは取れないのです。

確実に、そのピークをとらまえるためにはどうすればいいか。不動産というのは、ある日突然には下がらないのです。下がりきるまでに2~3年はかかります。

例えば2020年ぐらいにピークが来たら、下がりきるまでに2022年、2023年までかかります。その3年の間に売却をして、確実に利益を取るためにはどうしたらいいか。もう1つのアービトラージを付け加えればいいのです。リノベーションは相場より高い家賃が取れる、これがアービトラージです。

我々は、平均的に相場より2割高い家賃設定をすることができます。2割高い家賃設定ができるということは、100万で取れる物件ならば、投資家さまが6%のマーケット、1,660万のマーケットからスタートすると分子が120万に変わるので、この不動産の相場価格は2,000万になります。マーケットが盛り上がって5%のマーケットになれば、この不動産の相場は2,400万になります。これが4%のマーケットになれば、3,000万になるということです。

もし、ここでピークを迎えて不動産マーケットが崩壊し始めたら、どうしたらいいか。そのときは1割引きか2割引きで売ればいいのです。2,700万とか2,400万で売ればいいのです。そんなに欲をかかなくてもいいですよね。もともと1,600万で買っているのだから。内装に400万かけて2割引きで売ったとしても、400万はもうかっているからです。1割引きだとしても、700万はもうかっているのです。

マーケットのピークを迎えたときにもう1つリノベーションを組み合わせれば、仮にマーケットが崩壊したとしても、その崩壊のスピードより、多い値引率で売り抜けることができるのです。それでもリターンが取れるのです。そのポジションをつくることができるのです。なので、アービトラージをいくつ組み合わせることができるかによって、自分たちの売却の可能性が高まってくるのです。その中で、我々はリノベーションというアービトラージをご提供することができます。それが私どものご提案です。

まとめます。不動産というのは、途中でパフォーマンスを変えることができます。リノベーションすることによって、売却時期をコントロールすることができるのです。それによって、投資のパフォーマンスを変えることができるのです。今のように盛り上がっているマーケットで資産ボリュームを増やし、途中でマーケットが盛り上がったときはリノベーションを仕掛けて、そこで一部を売却して底値になったら売り抜ける。こういう中長期的な投資選択というのをご提案することができるのが、弊社の特徴となっております。

それでは私の話は以上とさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

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