はじめに
不動産投資で勝ち続けるために
先ほども言ったとおり、不動産投資は表面利回りで判断すると失敗します。本当は全期間で今後家賃がどうなっていくか。そして売却益はどれぐらい取れるのか。それをしっかりと考えていかないと、不動産投資は失敗するに決まっています。そのために、どういった戦略が必要になってくるかというお話です。
ディスカントキャッシュフロー、要は、この不動産が将来いくらのキャッシュを生み出して、それが今の投下手法と比べていいのか悪いのかということです。これが本当の投資パフォーマンスの測り方です。
ディスカントキャッシュフローで抑えないといけないポイント3つ
- いつ仕込むのか
- どうやってインカムゲインを安定させていくか
- どうやって売却するか
まず、結構皆さんが心配していらっしゃるのは、いつ仕込むのか。不動産が上がったり下がったりするのならば、誰がどう考えても下がっているときに買いたいというのが人情ですよね。今、不動産がちょっと盛り上がっているので、割高なんじゃないかと思われいてると思います。
次の割安ポジションはいつなのか。誰がどう考えてもオリンピックの後です。オリンピックというのはGDPを押し上げるイベントです。なぜ、オリンピックでGDPが上がるのかというと、需要を先食いするからです。ということは、オリンピックが終わったら、その反動でGDPが下がります。
そうすると、次の仕込み時はここじゃないでしょうか。では、このときに投資できますかというと、なかなかできないのです。
なぜかというと、底値で投資するのが不動産投資の正解だとするなら、なぜ皆さんは、前回の底値のときに投資しなかったのでしょうか。2009年、2010年は底値でした。東京周辺でも、利回り10%の物件がありました。なぜみんな買わなかったかというと、買えなかった。銀行がお金を貸してくれなかったからです。
リーマンショックとサブプライム問題で、日本の不動産業界がたくさんつぶれた理由はなんでしょうか。金融庁の貸し渋り、貸し剥がし市場だったからです。だから、底値になったら借入ができないのです。銀行がお金を貸したくないから。こういうときに買えた人は、誰かというとお金持ちです。銀行の融資をあてにしない人しか買えないのです。
我々が取り得る選択肢というのは、次の底値までにお金持ちになっているということです。お金持ちになりたいから不動産投資するはずなのに、不動産投資をするためにお金持ちにならなければいけない。これは大いなる矛盾なのですが、お金持ちの定義にはいろいろあるのです。銀行がお金持ちだと認識してくれたらいいのです。つまり、資産のボリュームさえ増えていれば、底値のときでもその資産を担保にお金を貸してくれるのです。
不動産はご存じのとおり、上がったり下がったりしますが、そのタイミングによって最適な投資のスタイルは違います。下がっているときは割安ですから買いです。でも、こういうときは銀行はお金を貸してくれませんし、貸してくれたとしても金利が高いので、融資を使うのは投資パフォーマンスがあまり良くありません。なので、基本は現金買いです。
今のように上がっているマーケットではどうかというと、やはり投資スタイルは買いなのです。なぜかというと、融資が緩くて金利が安いので、レバレッジ効果が効くからです。安い調達金利を組み合わせることによって、不動産投資のパフォーマンスが上がるという考え方が、レバレッジ効果です。具体的な事例で説明します。
2010年ぐらいには、東京周辺でも利回り10%という物件は沢山ありました。もし今、利回り10%の物件が東京にあれば、絶対飛ぶように売れると思います。
利回り10%の物件を検討してみましょう。800万の不動産で利回り10%ということは、年間家賃収入は80万です。悪くはないですが、この場合自分はお金持ちにはなれていないのです。資産ボリュームは増えていません。自分の現金の800万が、800万という不動産に形を変えただけだからです。だから、銀行の評価は高まらないのです。
今はどういう環境かというと、当時に比べたら間違いなく上がっています。1.5倍ぐらいまでになっています。当時800万ぐらいの物件は、今は1,200万ぐらい出さないと買えません。でも、同じ不動産ですから家賃収入は80万しか取れません。つまり、利回りは6%ということです。大体、今のマーケットはこんなものじゃないでしょうか。
今、何が違うかというと、金利が低いので頭金10万でも買えるという時代です。仮に100万の頭金で1物件買えたとしましょう。ローンは1,100万です。そうすると何が起こるかというと、金利が安いので元本と金利を払った後、手元に残るお金は318,000円です。何が起こったか分かりますか。自分が出したお金は100万です。でも、入ってくるお金が31万円です。つまり、利回り31%ということです。もともと10%の物件が、安い調達金利を組み合わせることによって利回りが3倍になる。これがレバレッジ効果なのです。
もともと800万を持っている人は、底値のときに800万の不動産を1つしか買えません。それは資産ボリュームが増えていないからです。100万の頭金で1物件買えるということは、理屈上、8物件買えるということです。1,200万×8で、9,600万の資産を持ったという計算になります。これならば銀行は融資してくれますよね。
またマーケットがシュリンクし始めたときに売却をすれば、売却益を取ることができて、新しい底値の不動産を仕込むことも可能になってくる。こういう中長期的な考え方をしていくのが不動産投資なのです。
投資スタイルというのは、その時々に合わせて投資すべきなのです。底値のときは、高い金利を払うのはもったいないので、できるだけ現金で底値買いをする。今のように盛り上がって金利が安いときは、この安い金利をうまく使わない手はないわけですから、レバレッジ効果を高くして、金利のボリュームをうまく活用させて資産効力を増やしていく。これが投資のスタイルというものです。
資産ボリュームを増やすという武器、現金化で底値で買うという武器、底値になったときに慌てて売らないという武器の選択を取らなくてはいけないのです。そのために考えなければいけないのは、どんな状況になっても安定的に家賃収入が入ってくるというシチュエーションを作っておくことです。家賃収入さえ入っていれば、底値のマーケットになったときに慌てて売る必要はありません。マーケットが復活するまで待てばいいのです。