はじめに
つみたてNISAだけで老後不安は解消しない
でも、このシミュレーションは毎年7%平均で運用できたという前提ですが、実際のマーケットはそんなに都合良く動いてくれません。大暴落があれば、年間のリターンが10%超のマイナスになることも普通にあります。1,531万円という数字は、相当に脆いものと思っておいた方が良いでしょう。つみたてNISAを始めたからといって老後の不安が一掃できるわけではありません。ただ、「何もやらないよりはまし」という程度の話なのです。
1,531万円って、結構な大金であるように見えますが、実はそれほどでもありません。
よく考えてみて下さい。60歳で仕事の第一線から身を引いて、公的年金を満額受け取れる65歳までの5年間、この1,531万円で凌ごうとしたら、1年あたりの使える金額は306万円です。
「たったの」と言ってはなんですが306万円。豊かな老後とはあまりにもかけ離れた金額です。
つみたてNISAは、特に給与所得者にとっては資産形成のマストアイテムですが、それだけで経済的に不安のない老後生活は期待できません。
つみたてNISA以外にも定期的にキャッシュフローを生み出してくれる資産をいくつか持ち、定年後もある程度のお金を稼げるように、スキルを磨くなどして自分の付加価値を高め、出来るだけ長く働けるようにしておくこと。
こうしたさまざまな対策を講じるなかのひとつが、つみたてNISAなのです。