はじめに

年金積立金が枯渇しないサンプル――それでも収入は不安定に

(1)年金徴収額――年金として徴収する金額が最初は毎年20兆円あるとして、これが20年後までに毎年16兆円まで均等に減っていきますが、そのあとは、毎年16兆円で据え置くとします。生産年齢人口がどれだけ減っても、年金徴収額を毎年16兆円で維持するプランです。20年後からは1人当たりの年金徴収額が増えるわけです。

(2)年金支給額――年金として支給する金額が最初は毎年20兆円で、これが20年後までに毎年25兆円まで均等に増えていったあとは、年金支給額を毎年25兆円で据え置くとします。高齢者人口がどれだけ増えても、年金支給額を毎年25兆円で維持するプランです。20年後からは1人当たりの年金支給額は減額されます。

(3)年金積立金の期待運用利回り――年金積立金の今後の運用利回りを税引き後で4%と仮定します。

(4)年金積立金が枯渇するサンプルとの違いは、生産年齢人口がどれだけ減っても、年金徴収額を毎年16兆円とすること(1)と、高齢者人口がどれだけ増えても年金支給額を毎年25兆円とする(2)ということです。

以上のような前提でざっと試算してみますと、2021年の時点で160兆円ほどであった年金積立金は、20年後の2041年に240・6兆円となり、これ以降は「運用収入(9・6兆円)+年金徴収額(16兆円)」が「年金支給額(25兆円)」とほぼ均衡して(少しプラス)、それ以降、年金積立金は減らず、微増していきます。ですから、年金積立金は未来永劫、枯渇しないのです。

このような年金積立金が枯渇しないサンプルでは、年金積立金が枯渇はしませんが、1人当たりの年金徴収額が増えたり、1人当たりの年金支給額が減ったりします。国民に負担をかけることで、年金積立金が枯渇しないようにしているわけです。

まとめ――年金が3分の1になる未来に備えておくべき

年金積立金が枯渇するサンプルの場合、当初の21年間は安泰ですが、年金積立金は22年目に枯渇しますので、前年の3分の1あまりの金額しか支給されなくなり、その額がずっと続くことになります。

ですから、2042年以降に、それまでの3分の1あまりの金額しか年金が支給されなくなっても生活していけるように「自分年金」を積み立てていく必要があるということになります。自分で「積立方式」と併用していかなければならないのです。

年金積立金が枯渇しないサンプルの場合、2041年以降は1人当たりの年金徴収額が増えていく一方で、1人当たりの年金支給額は減っていくことが想定されます。ですから、2041年までにしっかりと「自分年金」を積み立てておいて、2042年以降の年金徴収額の増額と、年金支給額の減額に備えておく必要があるということです。

いずれにしても向こう20年の間に、「自分年金」をしっかりと積み立てておかないと、年金制度は破綻しなくても、「一生働かなければ生活していけない」事態に陥ります

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