はじめに
フィデリティ・インスティテュート首席研究員の浦田春河です。90年代に米国で401(k)プランの販売を担当。帰国後、日本の確定拠出年金制度の創設をサポートし、その後も継続的に改善策を提案しています。また、ビジネスパーソン一万人アンケートや各種グローバル調査も担当しており、フィナンシャル・ウェルビーイングなど、お金に関する新しい考え方やトレンドを紹介していきます。
最近、ウェルビーイングという言葉を耳にする機会が増えました。ですが、じつはこの言葉の意味がよくわかっていないという人も多いのでは。ウェルビーイングは4つに分解すればわかりやすくなります。
日本人のウェルビーイングは世界と比べてちょっと低めというデータが出ています。今回はこのウェルビーイングについて、そして、その中でもお金の面にフォーカスした「フィナンシャル・ウェルビーイング」という言葉について解説します。
2022年はウェルビーイング元年
2022年はウェルビーイング元年といってもいいくらい、ウェルビーイング関連のセミナーが多く開催され、特集記事がたくさん書かれています。みなさんも、会社でウェルビーイングの名がついた研修があったとか、人事部からのメールにウェルビーイングという単語が増えた、と感じることはありませんか。
幸福度が高い従業員は、生産性も創造性も高く、欠勤率や離職率が低いとされます。そのため、いかにして従業員のウェルビーイングを高めるか、そして、その取り組みや成果をどう社外に開示していくかが、昨今、事業主の課題になっています。
コロナ禍をきっかけに、ウェルビーイングはわたしたちの行動や価値判断の基準になりつつあるように感じます。
ウェルビーイングとは、毎日の充実度や満足感を指す言葉ですが、このままだとざっくりしているので、少し分解してみましょう。
・心や身体の「健康」
・友人・知人とのつきあいや私生活の充実を指す「生活」
・社会とのつながりとやりがいの源泉である「仕事」
・経済的基盤を提供する「お金」
この4つに分けるとウェルビーイングの中身が少し具体的になります。