はじめに

別居の親も扶養家族になる

――ずばり聞きますが、会社員に節税の余地はあるのでしょうか。

節税の点から見ると、個人事業主や経営者と比べて会社員が節税できる余地は小さく、現実には「ほぼない」と言って良いと思います。
ただ、生命保険や地震保険の保険料や医療費などは一定の条件を満たすことによって控除の対象となりますので、きちんと申告することで節税につながります。

保険料については年末調整の時に保険会社から証明書が送られてきますので、忘れずに会社に提出します。医療費は年間の医療費が10万円を超えた場合に、超えた分が控除対象となります。これは会社の年末調整では処理されませんので、自分で確定申告して控除を受ける必要があります。

また、高齢の親などの生活費を面倒見ている場合は、別居の場合でも扶養家族に入れることができます。会社で年末調整する際、「扶養控除等申告書」に親の名前や年齢などを書いて提出することで、控除が受けられる場合があります。

――別居の親でも良いのですね。

はい。扶養控除の対象となる人の要件として「生計を一にする」という言葉が出てきます。
これが誤解の原因だと思うのですが、生計を一にするというのは生活費が共通という意味で、同居しているという意味ではありません。

親が69歳以下なら38万円、70歳以上なら48万円の控除が受けられますので、生活費や療養費を送るなどして支援しているのであれば忘れずに申告して控除を受けた方が良いでしょう。

――自己申告せずに見落としたり忘れたりする控除は意外とあるかもしれませんね。

そうですね。節税とは多少視点が変わりますが、家を買った時の住宅ローン控除や、売却した時の3,000万円控除(※居住用の家などを売った時の所得を最高3,000万円まで控除ができる特例)なども忘れずに活用してほしいと思います。

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