はじめに

老後資金はいくら必要?

どれくらいの教育費がかかるのかイメージできたところで、今度は、老後までにどれくらいお金を準備しておいたら良いのかを考えてみましょう。

参考までに現在すでにリタイア生活を送っている人の平均的な家計をみてみます。リタイア世帯の生活費は、夫婦の場合で約23万7,659円となっています(総務省「家計調査」2019年)。もらえる公的年金の平均額などと相殺すると、で約3万3,000円の“赤字”になっています。

ちなみに、90歳まで生きると仮定すると、毎月約3万3,000円を26年間貯蓄から取り崩すことになるので、約1,030万円程度足りません。このお金に加えて高齢になると、病気や介護状態になる可能性も高く、医療費、介護費用として1人あたり500万円程度を準備しておきたいところです。そうすると、リタイアするまでに夫婦で最低,2000万円は貯めておきたいところです。

ただし、上記のデータは、衣食住の基本生活かつ、持ち家を前提にした費用です。旅行に行ったり、高級レストランで食事をしたり、孫にお小遣いをあげたりと、いわゆる、ゆとりある老後を送るためには、夫婦2人合わせて35〜36万円が必要といわれています。

ですから、どんな老後を送りたいのかによって、必要になるお金は変わってくるわけです。

ご相談者さんの場合、退職金制度がないようですから、早い時期からコツコツと老後資金を準備していくことが大切です。

老後費用2000万をどうやって準備する?

仮に老後までに夫婦2人分の費用として2,000万円を貯める場合を考えてみましょう。中長期的に安定的にお金を増やしていくためには、「投資信託積立」が有効です。

ご相談者さんは、現在、36歳とのことなので、65歳までを老後資金の準備期間と考えると29年間あります。

仮に毎月3万円をタンス預金で年間貯めると972万円になりますが、3%の利回りの投資信託で積み立てることができれば、約1,660万円、4%の利回りの商品で積み立てることができれば、約1,960万円になります。金融庁の資料によると、国内外の株、債券に20年間(1995年から2015年)分散投資した場合、平均利回りは4%程度とのこと。バランスファンドなどを活用して国際分散投資を心がければ、4%程度の利回りで運用できる可能性は高いでしょう。つまり、今から4%程度の利回りの商品で毎月3万円を積み立てることができれば、基本的な老後資金は貯まるということです。

iDeCo、つみたてNISAを活用すれば、節税の効果も得られるので、さらに、効率的にお金を増やすことができます。

ライフイベントの費用を「見える化」していこう

今回は、あくまでも一般的な教育資金や老後資金についてお話ししましたが、今回のデータを参考にしていただき、子どもが誕生することを前提に、収支を考えてみましょう。そうすることで、子ども誕生後の家計のイメージが具体化し、繰り上げ返済や教育費、老後費用に備えてそれぞれどれくらいの金額を貯蓄していかなくてはならないのかが把握できるでしょう。できれば、シミュレーションを元にご夫婦で話し合っていただくと、今後の働き方なども含めて、総合的に将来のマネープランがイメージできると思います。

先行き不透明な時代ですが、まずは、今後の大きなイベントについて費用を「見える化」し、思い描く人生を実現するべく、行動していきましょう。

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