はじめに

今後の貯蓄はどうなる?

現在は、小学生と私立中学のお子さんですが、3年後の2025年には私立中学生と私立高校生になります。私立お二人分の学費に加えて、上のお子さんの大学受験塾などにもお金がかかってくるので、貯蓄が今ほどできなくなるでしょう。

現在、学資保険に加入して教育費を取り分けていますし貯蓄もあるので、学費は国公立・私立のどちらに入った場合でも支払うことができます。気になるのは、学費以外にかかる学習費用および本人の生活費や一人暮らしの家賃なども親が負担するのかどうか。子どもたちがアルバイトをするか、奨学金などを借りて自分たちで将来的に返済していくのであれば、お子さんたちが大学に入ったタイミングで、ご夫婦は老後資金を一気に貯めていくことができます。

一方、こうした資金も親の方で賄ってあげるとなると、老後資金に向けた準備開始時期が6年あと倒しになります。子ども二人を支えている間はなかなか難しいため、上のお子さんが社会人となって独り立ちをする予定の2033年、ご相談者さんご夫婦が55歳のころから、老後資金への貯蓄を加速していくことになります。

昇給を取るか、時間を取るか

「今の収入でも教育、老後資金に問題がないのであれば、(昇進を)お断りすることを検討しています。」とありました。

結論を申し上げると、いまの収入でもお二人のお子さんの学費を出してあげることは可能です。学資保険と老後の保険の内訳はわかりませんが、満期になった学資保険を解約しつつ残りは貯蓄を崩しながら支払う、将来受け取る予定の保険を部分解約するなどお金を回していけば、学費は出せます。その他の資金まですべて親が負担するとなると、ご夫婦の老後資金が多少影響を受ける可能性があります。昇進を断る場合には、退職金額やご夫婦の公的年金の状況を見ながら、どこまでお子さんに援助をするか決めてください。

「もし、昇格出来れば年間160万程手取り収入増が見込まれます。とても魅力的ですが、仕事の負担増により家庭と両立出来るか不安です。」とご自身で書かれているように、結局はお金の問題ではなく、不安感にあると思います。

その昇進は、いま断っても、例えば下のお子さんが中学受験を終えた後に、またチャンスが巡ってくるものですか? もし、次のチャンスが巡ってこないとしても、昇進を断って後悔はしませんか? 昇進を受けた場合、仕事と家庭の両立は本当に難しいでしょうか? 昇進しながらも、家族の協力を得たり、増えた収入の一部を使ったり、職場の理解を得たりして、暮らしを回していくことはできませんか?

もちろん、すでに申し上げたように、子どもへのサポートの仕方や退職金次第で、今回の昇進を見送るという選択も可能です。まずはお金のことを抜きにして、ご自身のキャリアや目の前の不安と向き合って、本当はどうしたいのかを考えてみてください。

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