大統領選がリスクオン相場を誘発?「2020年のドル円相場」はどうなるのか
来年の想定シナリオは円高?円安?
残り1ヵ月半となった2019年を振り返ると、金融市場のキーワードは「不確実性」だったと言えそうです。英国のEU(欧州連合)離脱をめぐる混乱もさることながら、やはり大きな関心を集めたのは米中貿易摩擦の成り行き。米中両国が対立と融和を繰り返しつつ、結局、問題の解決は先送りされてきました。両首脳が一時休戦で合意した後も、ドナルド・トランプ米大統領が中国製品に対する関税引き上げを発表し、市場の失望を誘ったこともありました。それでは、このような「不確実性」の時代は2020年も続くのでしょうか。鬼が笑わない程度に、足元の政治・経済情勢からドル円相場の先行きを見通してみます。
株式相場は「年末ラリー」に突入?日本株も流れに乗れるか
足元の世界株高の“寿命”を探る
11月に入ってからの世界の株式市場では、リスクオン・ムードの高まりとともに、良好な相場の地合いが実現しています。とりわけ米国では、NYダウ平均とS&P500、さらにナスダック総合指数がそろって最高値を更新するなど、好調そのものです。年末にかけて株高になりやすい傾向を指して「年末ラリー」と呼びますが、世界の株式市場はこのまま年末ラリーに突入するのでしょうか。そして、その流れは日本株市場にもやって来るのでしょうか。
年率20%成長、「中華フィンテック」爆発的成長の深層
市場規模470兆円予測も
日本では10月の消費税率引き上げとともに「キャッシュレス」キャンペーンが広がっていますが、中国ではモバイル決済はすでに生活になくてはならないものになっています。筆者が5月に中国(北京、上海、杭州)で現地視察をした際、レストランやタクシーの支払いから、スーパーでの買い物、シェアバイクのデポジットまで、あらゆるものが“電子決済のみ”受け付けられ、現金だけでは生活ができないといわれるほどに普及していました。中国ではインターネット金融が高速度で発展していますが、その中でも「フィンテック(FinTech)」が注目されます。金融サービスに情報通信技術を応用することで、送金や決済、貸付業務、投資アドバイスなどの合理化・効率化が進み、これまではなかった金融サービスを提供できるようになってきました。
ドル円相場の値動きは3年前の3分の1、値幅はなぜ狭くなった?
今後の為替相場はどう動くのか
金融市場の一部では「年々、ドル円相場の値幅が狭くなってきている」という嘆きの声が聞かれます。一昨年のドル円の取引レンジは11円強(118円60銭~107円32銭)で、昨年は10円弱(114円55銭~104円56銭)でした。今年は、ここまでドルの高値が112円40銭(4月24日)、安値が104円46銭(8月26日)であり、取引レンジはわずか7円94銭にとどまっています。2016年は年間のレンジが22円67銭(121円69銭~99円02銭)だったことを踏まえると、年々値幅が狭くなっているのは確かです。今年は年初に「フラッシュ・クラッシュ」と呼ばれる瞬間的に円が急騰する事象があり、波乱のスタートとなりました。また、前年まで利上げを続けていた米連邦準備制度理事会(FRB)が一転して利下げを行うなど、金融政策の大転換があったことに照らすと、円高リスクはここ数年に比べて高いと考えるのが普通でしょう。それにも関わらず、ここまで円の高値は昨年とほぼ同水準にとどまっており、円高期待は空振りという印象です。ここまでドル円相場のレンジが狭くなっている、ないしは円高に振れにくくなっているのは、なぜなのでしょう
ドル円相場はどう動く?9月「雇用統計」に潜む、2つの“台風の目”
ひとまず無難に通過だが…
10月4日に発表された米国の9月非農業部門就業者数(NFP)は、市場予想よりも弱い内容となりました。発表直後の為替相場の反応はドル売りでしたが、8月分の上方修正を加味すると、さして気にする内容ではないと思われます。それよりも市場を驚かせた数値が、今回の雇用統計には2つありました。この2つのサプライズは今後の金融市場にどのような影響を与える可能性があるのか、そして、ひとまずサプライズを消化した形の金融市場が今後どのようなシナリオをたどりそうなのか、考えてみます。
史上最高値の目前まで急騰、「インド株」の上昇基調は本物か
“カンフル剤”の賞味期限は?
7月以降、軟調に推移していたインドSENSEX指数は、9月20日に前日比5.3%高の3万8,014ポイント、週明け23日にも同2.8%高の3万9,090ポイントと急騰しました。背景にあるのが、9月20日にインド政府が発表した景気刺激策の第4弾です。その内容は、法人税を従来の30%から22%へ引き下げるというもの。新しい実効税率は約25.2%となり、今年4月にさかのぼって適用されます。政府が景気刺激と投資促進の双方の効果を狙う減税効果は約2.2兆円。中でも、自動車や金融、資本財、日用品、石油・ガスなどへの恩恵が期待されます。追い風を受けた形のインド株市場。この先はどのようなシナリオをたどりそうなのか、現地の政治・経済動向を検証してみます。
1ドル107円台にタッチ、ドル円相場は円安歩調を維持するか
カギ握る「トランプ・リスク」の行方
9月3~6日の週は、ドル円が105円台後半から107円台まで踏み上げられる相場でした。もともと「リスクオフ」というテーマに沿ってドル売り・円買いになりやすいポジションが切らされる(損切りさせられる)相場だったことで、週末に積極的にドル売り・円買いを仕掛けることもできず、最終的には106円台後半での売買交錯でニューヨーク市場は引けました。先月には一時、1ドル105円台まで突っ込んだドル円相場。今後もこのまま、切り返しが期待できるのでしょうか。カギを握るのは、やはり“あの人物”のようです。
米国が追加関税第4弾を発動、世界の株式市場の行く末は
米中貿易摩擦はいつまで?
9月1日、米トランプ政権は1,100億ドル分の中国製品を対象に、制裁関税の第4弾を発動しました。家電や衣料品など、生活に身近な消費財を中心に3,000品目以上に15%の追加関税を課す内容です。中国側も即座に反撃に出て、米国産原油や農産品などに5~10%の追加関税を適用する対抗措置に出ています。米中問題はこのままずっと平行線を辿り続けるのでしょうか。今後の株式市場の見通しを解説します。
異例の独歩高、世界同時株安の中で「豪州株」が堅調なワケ
約12年ぶりに史上最高値を更新
豪州の代表的な株価指数であるASX200指数は7月30日、約12年ぶりに史上最高値を更新しました。米中貿易摩擦への懸念が広がる中、豪州株は春先から他のアジア株との連動性が薄れ、独歩高となっています。8月23日時点での年初来上昇率は15.5%にのぼります。今回は、豪州株が好調な理由を分析してみたいと思います。
リスクオフの円買い相場で「豪ドル」が最大の焦点である理由
為替市場の転換点は近い?
8月の為替市場のメインテーマは「リスクオフ」といえます。8月1日に米国のドナルド・トランプ大統領が中国製品3,000億ドル相当へ10%の追加関税を賦課する方針を突如発表して以降、米中両国の対立は新たなステージに突入しました。また、米中の対立激化以外にも、香港やイタリア、アルゼンチンなど世界各地での政治的混乱が嫌気されたほか、ユーロ圏の景気悪化懸念も投資家心理を冷やす要因になりました。市場は悲観ムード一色ですが、そこに落とし穴はないのか、探ってみたいと思います。
日経平均2万円の攻防、「トランプ・ショック」で先行きは?
押し目買いの好機はどこか
先週の株式市場は、ドナルド・トランプ米大統領による“寝耳に水”の第4弾の対中関税引き上げの表明で、不意打ちを食らう形となりました。ほとんどの市場関係者が予想していなかったアクションで、市場参加者の動揺はまたたく間に世界の株式市場に広がりました。いまだに混乱は収まっていない状況ですが、今後の展開についてまとめてみたいと思います。
酷暑にこそ考えたい、「環境問題解決ファンド」の投資価値
高まる気候変動対策への注目
ようやく夏らしい日がやってきましたが、久々の夏の日差しは耐え難いものがあります。欧州では7月25日に熱波に見舞われ、パリで観測史上最高の42.6度を記録。72年ぶりに最高気温が塗り替えられました。一方、熱帯に位置するメキシコでは6月末に雹(ひょう)が一晩にして90センチ以上積もるなど、世界各地で異常気象がみられています。世界経済フォーラムは「グローバルリスク報告書2019年版」で、2019年に世界で発生の可能性が高いリスク上位3位に「異常気象」「気候変動適応の失敗」「自然災害」を挙げました。自然環境関連のリスクは、3年連続で他を圧倒しています。中でも、気候変動適応の失敗は「影響度が最も大きいリスク」と指摘しています。こうした中、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2018年10月、パリ協定の世界の平均気温上昇を1.5℃未満に抑制する目標を達成するために必要な劇的かつ前例のない変化を遂げるには、最大で12年しか残されていないと報告しています。そして、投資の世界でも、このような環境問題に対する関心が高まっています。今回は、その最前線を解説したいと思います。
米国利下げ後、円は上がる?下がる?
国際商品価格に注目
米国経済は依然として良好のように見えます。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)は早期利下げを視野に入れているようです。そこで、今回は米国の金融政策と為替相場の行方を展望してみたいと思います。
米国の利下げはいつ?統計から読み解く当局の思惑
6月雇用統計と製造業景況指数
7月5日に発表された米国6月雇用統計は、非農業部門就業者数(NFP)が市場予想よりも強い内容となりました。一方で、平均時給伸び率は市場予想よりも弱い内容でした。なぜ、このような結果になったのか、筆者の予想と合わせて解説したいと思います。
G20明けの日経平均は急伸、勢いはしばらく続く?
“二重の期待”が相場の追い風に
7月最初の株式市場では、日経平均株価が前日比454円高と急伸しました。週末に開催されたG20大阪サミットで、これまで懸案とされてきた米中貿易協議に大きな進展が見られたためです。しかし、マーケットには相場の先行きを慎重に見る向きもあるようです。個人投資家は当面の間、株式市場とどのように向き合ったらよいのでしょうか。
焦点はG20後、長期化する貿易戦争下で注目すべき投資先は?
内需の強い投資対象を探る
G20サミットと米中首脳会談が今週末に迫ってきました。5月5日にドナルド・トランプ米大統領が突然、対中追加関税引き上げ発言を発して以来、対中関税第4弾の可能性や中国通信大手ファーウェイとの取引禁止、それに対する中国からのレアアースの対米輸出禁止の検討と、激しい攻防が続いてきました。しかし6月18日には、トランプ大統領がG20に併せて米中首脳会談を持つとの意向を示し、再び米中協議の軟着陸への期待が高まっています。とはいえ、米中通商協議の本質が「米中の覇権争い」であり、トランプ大統領が来年の米大統領選挙にかけて、外交政策での切り札として利用し続けると予想されるため、米中貿易摩擦は強弱を変えながらも、長期化する可能性はあるでしょう。こうした局面での投資対象としては、対外輸出依存度や米中向け輸出依存度が低い国、つまり内需の成長力が大きい市場が選好されるとみられます。米中貿易摩擦の影響を受けてもなお、成長が期待できそうなアジア、オセアニア諸国を分析してみたいと思います。
ついに米国が利下げ?為替市場で何が起こるか
無視できない実需マネー
6月に入り、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利下げ観測が急速に台頭しています。仮に米中貿易摩擦が長期化すれば、FRBが“予防的な利下げ”を実施するというシナリオが市場でかなりの支持を得ているといえます。焦点は、もはや「利下げがあるかどうか」ではなく、「いつ実施されるか」というところに移っている印象です。市場あるいはトランプ政権から強い利下げ要求圧力を受け、FRBが従来の「忍耐強い姿勢」を維持するのが難しくなっているのは確かでしょう。
1ドル108円割れから反転、“アク抜け”ドル円相場の先行き
このまま円安が進行するか
6月7日に発表された米国の5月雇用統計は、非農業部門就業者数と平均時給伸び率が市場予想の平均値よりも弱い内容となり、発表直後からドルの売り圧力が強まりました。つまり、米国の利下げ期待が強まっている環境下で、平均時給の伸び率が弱かったことによる米金利低下が、ドル円相場の頭を重くしたのです。しかし、米株式市場では、米利下げ観測が好感され、株価は寄り付きから上昇。為替市場でのドルの売り圧力は弱まりました。週末にG20財務相・中央銀行総裁会議、日米財務相会談が控えていたことに加え、週初から盛り上がっていたドナルド・トランプ大統領による対メキシコ関税問題に関するヘッドラインへの警戒もあり、投機的ポジション(株先物売り・円買い)を大きく傾けたくない心理が働いたのではないかと考えられます。もともと3~7日の週は、対メキシコ関税問題、ADP雇用統計を受けて、短期筋や投機筋、デイトレーダーのドルの売りが溜まりやすい地合いでした。ポジション調整はドルの買い戻し方向であったと想像しています。