はじめに

iDeCoで可変配分型を活用するなら

もしiDeCoで可変配分型を使うのであれば、繰り返しになりますけれども、まず1つ目は、ポートフォリオの土台あるいはクッションとして使うのがポイントです。日本もそうですけれども、残念ながら世界的にはまだまだ金利が低い状態が続いていますので、債券で十分な利回りを確保することが非常に難しいんですね。特に先進国債券に投資をするような投資信託は、残念ながらコストに負けてしまっているファンドもたくさんあります。ですから、債券をクッションとして最初から考えるのは時代に合っていないので、そういった意味でも、債券代替としてバランス型を活用するというのは、非常に理にかなっていると思います。

もう1つ、元本確保型からのステップアップです。具体的には預金とか、既にもらえる額が決まっているような資産ですね。ここからのステップアップとして使っていただくのもいいと思います。iDeCoの場合、私ども楽天証券とか一部のネットのチャネルでは、運営管理手数料といって自由に運営管理機関が決める手数料がゼロの会社も非常に増えています。

ただ残念ながら、事務手数料と資産管理手数料という固定の手数料が毎月164円かかってきますので、ここを挽回しようとすると、なかなか定期預金では挽回することは難しいです。そういった点でも、預金プラスアルファぐらいのリターンを追求するという意味で、元本確保型だけではなくて一部バランス型などを入れてステップアップしていただくという方法があると思います。

そして3つ目、移管資金ができない運用として使っていただくこともできます。私がこういう使い方をしています。確定拠出年金は、お引っ越しができます。ただ、お引っ越しをするにあたっては、いったん資金を現金化してからお引っ越しする必要があります。その場合、雪だるま式に移管した資金の運用先と、新たな掛け金の運用先を両方決める必要が出てきます。新たな掛け金の運用先は、株式型だけでやっていただいてもいいと思うんですけども、比較的まとまった資金の運用は結構難しいと思うんですね。これがまさに減らしたくない、リスクを低く抑えたいというニーズに合致します。ですので、移管資金の運用先として可変型バランスを使っていただくのもありだと思います。

土台部分は組み合わせやすさ、上乗せ部分は役割を重視

ポートフォリオの土台、クッションのお話を何度もさせていただきましたが、もうちょっと深掘りしていきたいと思います。これはiDeCoだけではなくて、一般的な投資信託を使った資産運用でも使える考え方ですので、ぜひ覚えてください。

土台部分は、主食のようなイメージですけども、これは組み合わせやすさを重視してください。これも安いとか、仕組みがシンプルということではなくて、長期にわたって保有できる上質なファンドを選んでください。優秀なファンドを必ず選んでくださいということです。洋服に例えるのならば、非常に上質な生地でできているワンピースとかネクタイとか、こういったものを1本1枚持っておくようなイメージです。ここを間違うと資産運用はなかなかうまくいかなくなりますので、非常に重要です。

一方、上乗せ部分、これは分かりやすいです。テーマ型と言われる投資信託などもここに入っています。この部分は役割が決まっています。洋服で例えると、パーティーに着ていくような服とか、ハロウィンで使うような服とかは用途が決まっていますよね。これをワードローブの中心にするのはなかなか考えにくいと思います。そんなイメージです。これはファンド間の相関、同じようなものをいっぱい持っていないかも注意してください。そうすれば、自然とポートフォリオをうまく作れるようになります。意識の部分ですけれども必ず覚えておいていただきたいところです。

バランス型ファンドを見分ける2つのポイント

最後になりますけれども、投資信託の評価の世界で、私どもアナリストが投資信託を評価する際に、バランス型ファンドは評価が難しいファンドなんです。なぜかといいますと、それぞれのファンドでまず特徴があります。そして、ファンドが取っているリスクがそれぞれ異なりますので、なかなか相対評価が難しいんですね。これは皆さんにも同じなんですけども、もしバランス型ファンドを自分でいろいろ見てみたいという場合は、2つポイントがあります。

1つはシャープレシオです。取ったリスクに対して、どれだけリターンを取れているか。バランス型ファンドの場合は、まさにこの考え方を一番最初に出していただいて結構です。加えて、もう1つ要素として見ておいていただきたいのが、有言実行がどうか、投資方針で固めたことをきちんと実現できているかどうかです。まさにリスク調整型、リスクコントロール型といわれるファンドの場合は、必ずしもプラスのリターンを追究することが重要なわけではないんですね。資産を増やしていくことが重要になりますので、きちんとリスク水準を保ちながら運用できているかどうかも重要なポイントになってきます。特に可変型の場合は、2つ目が非常に重要になってきます。

それでは、私からのご案内は以上となります。この後、三菱UFJ国際投信の菅家さんにバトンタッチしたいと思います。菅家さん、よろしくお願い致します。

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