はじめに

60歳まで引き出せないのはデメリット?

iDeCoについて「注意点やデメリットはありますか?」という質問をよく受けるのですが、強いて挙げるなら、60歳まで脱退や引き出しはできないという点です。「途中でお金が必要になったらどうしよう」と躊躇する方もいますが、結婚や出産、あるいはマイホーム購入などお金が必要なライフイベントを迎えたときに、皆さんは厚生年金を引き出そうと思いますか?

そんなこと思いませんよね、それと同じです。iDeCoは公的年金に上乗せする制度なので、厚生年金や国民年金と同じように考えていただきたいと思います。もちろん加入者自身に万一のことがあった場合には、公的年金と同じように死亡一時金や障害給付金を受け取れますが、引き出すという単純な流動性の観点では公的年金と同じだと考えてください。60歳まで引き出せないのがデメリットだと思っていた方は、発想の転換をしていただくといいですね。

一方、iDeCoのメリットの中で最も大きいのが、以下の3段階にわたる税制優遇がある点です。

1. 拠出金が全額所得控除になる

最初の税制優遇は、積立に拠出する全額が所得控除の対象になるという点です。このメリットが一番大きく、所得税と住民税の両方を軽減する効果があります。

サラリーマンで年末調整をしている方であれば、毎年10月か11月初旬頃にハガキが届くので、そこに書いてある金額を年末調整の書類に記入すれば所得控除の手続きが完了し、税制優遇が受けられます。別途確定申告をする必要はありません。

2. 運用益が非課税になる

積み立てたお金を運用して利益が出た場合、この運用益には税金がかかりません。これはNISAと共通するメリットです。

3. 受け取り時も税制優遇が受けられる

60歳以降に年金を受け取る時にも税制優遇が受けられます。具体的には退職所得控除と公的年金控除の対象となります。

iDeCoでは預金など元本確保型商品も選べる

iDeCoの運用先は大きく分けて2種類の金融商品があります。まずは元本確保型商品です。これは冒頭でお話しした「守る器」に適した商品で、預金や保険を利用した元本が確保される商品です。楽天証券のiDeCoプランのなかでは「みずほDC定期預金(1年)」という定期預金をご用意しています。

そしてもうひとつは、元本変動型です。具体的には投資信託になります。iDeCoでは個別株に投資できないので、元本確保型ではない商品はすべて投資信託になります。楽天証券では私がチョイスし監修した27本のラインナップをご用意しています。

iDeCoとNISAの違いについてもよく質問をいただくのですが、先ほどお話した通り、運用益が非課税という点は共通しています。ただNISAでは預金のような元本確保型商品は選べません。投資できる対象は投資信託と個別株だけです。

一方iDeCoの場合、預金のような元本確保型商品も選べて、その部分の利息も非課税になります。

とはいえご注意いただきたいのは、iDeCoでは手数料が必要になる点です。楽天証券の場合、初めの1年間は運営管理手数料という金融機関に支払う手数料が0円で、資産の残高が10万円以上あればその後も引き続き0円でお使いいただけますが、別途、国民年金基金連合会と事務委託先の金融機関に対する手数料が必要になります。これはどの金融機関で口座を開いても同じく必要になるコストで、口座開設時に2,777円、運用している間は月額167円が必要になります。

ですから、iDeCoの運用先を100%預金にしてしまうと、金利が低いのでコスト分をペイできない可能性があります。運用という観点でも投資信託をおすすめしたいのですが、コスト面でもやはり資産の一部は投資信託に振り分けていただくのがよいと思っています。

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