はじめに

iDeCoで投資する投資信託の選び方

iDeCoでは投資する金融商品(主に投資信託)を自分で選ぶ必要がありますが、この商品選びも重要なポイントです。

投資信託には大きく分けて、インデックス型とアクティブ型という2通りの運用手法があります。インデックス型は、日経平均株価やNYダウといった指数に連動する投資成果を目指す投資信託です。市場平均と同じ成果を目指すので、指数以上のリターンを上げたり、自由に銘柄を選ぶことはできません。その代わり、商品設計がシンプルなので、コストが安いというメリットがあります。

インデックス型が市場平均を目指すのに対して、市場平均以上のリターンを目指すのがアクティブ型になります。上昇しそうな銘柄を選んで自由に組み入れることができますが、その分コストが高くなります。

両者を飲食店に例えると、インデックス型はチェーン店のようなものです。全国どこのお店でも、手頃な価格で共通した味を提供します。

一方アクティブ型は、シェフが腕を振るうこだわりのビストロです。値段は高くても、チェーン店にはないここだけの味やサービスを提供しています。

シンプルな商品設計の商品と、手間をかけている商品では、コストは違って当然です。単純にコストだけを比較すると安い方がいいでしょうが、それだけではないことも理解しておく必要があります。

とはいえ、コストは数字で比較しやすいため、「アクティブ型はコストが高いのでやめた方がいい」とか、「アクティブ型はインデックス型に勝てない」といった論調が見られます。確かに、直近の5〜10年くらいをみると、海外株式や海外債券といった資産クラスで、インデックス型の運用成績がアクティブ型を上回る傾向があります。

しかし一方で、日本株やJ-REITなどでは、アクティブ型がすぐれていることも多くあります。アクティブ型は国内は強いけれど、海外では弱い傾向があるのです。これには、どんなに良い銘柄選びをしていても、為替変動で利益が吹き飛んでしまう局面がかなりあったことが背景にあります。投資信託選びの際にはこうした特性も理解して、双方の強みを享受していただきたいと思います。

さらに、複数の資産を組み合わせた「バランス型」という投資信託もあり、iDeCoではこのタイプも人気があります。自分でいくつもの投資信託を組み合わせなくても、1本で世界中の資産に分散投資できるからです。料理に例えるなら、ワンプレートランチやシェフのお任せコースみたいなものです。

10年ほど前までは複数の資産の組み合わせることが手数料の押し上げ要因になっていて、必ずしも有利な商品ではありませんでしたが、最近は運用技術が進んでコストを安く抑えることも可能になってきました。

中には為替ヘッジをして為替変動リスクを抑える商品もあり、ファンドによって運用方針は異なるため単純な比較は難しいタイプです。必ずしもコストが安いものが好成績を収めているとは限らない点に注意しましょう。

インデックスとアクティブはどちらが優れているか

投資信託の良し悪しの判断基準としてコストばかりが強調される背景のひとつに、日本には投資信託の専門家と言える人が少なく、どの投資信託が良いか悪いかということを自信を持って言える人がほとんどいないということがあります。

さらに、「過去10〜20年間の実績をみると、インデックスに勝っているアクティブ投信は全体の20%しかない」という理由で、インデックス型が優位とする見方もあります。確かに、期間の取り方によってはそういう結果が出ることがあります。

それでも、2割のアクティブファンドはインデックスに勝っているのですから、そこを無視するのはもったいないことです。この2割のアクティブファンドに投資したいと思っても、それを教えてくれる人はなかなかいません。なぜなら、それは6000本もある日本の投資信託を熟知していないと勧められないからです。

普通に投資信託を買おうとすると選択肢が多すぎて迷ってしまうものですが、iDeCoの場合は金融機関があらかじめ厳選したラインナップから選ぶので選びやすいというメリットがあります。

楽天証券の場合は、27本を厳選しています。このラインナップについて、今後増える可能性はありますか、という質問をよくいただきますが、これには慎重にならざるを得ないというのが実情です。今後、iDeCoでは選べる金融商品の数に上限が設けられることになったためです。具体的な本数は未定ですが、決定したら超過分の取り扱いを停止しなければならない可能性もあるので、本当に良いものだけを厳選し27本に抑えているのです。

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