はじめに
現金で6ヶ月以上の生活費を確保しておく
現金の確保とは、万が一働けなくなったりしても、しばらく食いつないでいける「生活防衛費」とも言える金額を確保することです。目安としては6ヶ月分の生活費、個人事業主の方は1年から2年分の生活費を貯めると良いでしょう。
現金がしっかり有るのか無いのかによって投資による資産の増減のインパクトは変わります。もし、なけなしのお金のすべてが増減したとしたら、どんなにタフな精神の持ち主でもこたえてしまいます。
長期分散積立を意識する
先述のとおり、長期で資産を運用することで、資産は増えていく傾向にあり、元本割れの可能性が少なくなります。また、値動きが違う複数の投資対象に分散投資をすることで、一つが下がっても他が上がっていれば、全体的な資産の増減幅を小さくし、心理的にも安心感が増します。
積み立ては時間分散とも言いますが、株価の高い時も低い時も買い続け、取得価格を平均化していくことで、資産増減の幅を緩やかにします。投資の専門家ではない長期個人投資家は、複雑なポートフォリオを組むより、運用資産は株と現金のみで良いでしょう。
長期投資の大家、ジェレミー・シーゲル教授も著書「株式投資の未来」の中で、「過去のデータを見ると、債券は比較的リスクの小さい資産と言われているが、17年以上の運用では株式に投資していた方が元本割れのリスクが小さくなる」と述べています。複雑なポートフォリオをリバランスしながら運用するのは大変なので、株式と現金でのリスクコントロールをオススメします。
金融商品における手数料と税金は大きなインパクトに
金融資産を買う時に気にすべきが、コストです。主なコストには手数料と、税金があります。
税金については、運用益に20.315%の税金が発生します。分離課税なので、他の事業所得や一時所得との損益通算も出来ません。ただし、NISA口座で運用すればこの税金が免除され、iDeCoなどの確定拠出年金も基本的にはかからないというメリットがあります。
金融商品を買う場合、買う時と売る時に手数料が発生し(投資信託と一部のETFは、証券会社によっても手数料無料になることもある)、投資信託の場合は信託報酬がかかります。この信託報酬は手数料のなかでも最大のコストです。なぜならば、コストが複利でかかってくるからです。
例えば、期待リターンが6%の投資信託を買ったとして、0.2%の信託報酬のA商品と、1.3%の信託報酬のB商品では、将来得られる利益の差がとてつもなく大きくなります。
A商品は期待値6%の複利運用から0.2%をマイナスするので、5.8%で運用することになり、B商品は6%から1.3%を引いた4.7%で運用になります。
それぞれ毎月2万円を20年複利運用した場合を見てみましょう。
A商品は、元本480万円が、902万4,960円になります。
B商品は、元本480万円が、794万1,883円になります。
この差が信託報酬の差になります。100万円以上の差になるので、投資する上で手数料は非常に大きなインパクトになることが分かります。