はじめに

ETF(上場投資信託)とは?

リスクコントロールとコストコントロールを意識しながらiDeCoやつみたてNISAの税制優遇枠を使い切った後、投資対象として候補に上がってくるのがETF(上場投資信託)でしょう。投資信託同様に複数銘柄に分散投資が可能ですし、信託報酬はETFのほうが安いことが多いです。

例えば、米国のインデックスであるS&P500に連動したETFの「VOO」であれば信託報酬は0.02%ですが、同じS&P500に連動した投資信託のeMaxis Slim 米国株式(S&P500)であれば、信託報酬は0.0968%になります。

信託報酬としてはどちらも非常に安いですが、比較をすると4倍の差があります。ある程度の現金を一気に投資商品に変える場合は、投資信託に比べて信託報酬の少ないETFのを好む人も多くいます。

ETFは、「上場」している投資信託ですので、投資信託同様に様々な会社を一気に買うことができる利点がありますし、株式のように市場の値動きをダイレクトに判断しながら投資できる利点があります。また、投資対象が著名なインデックスを網羅していたり、セクター別に投資対象を選べます。投資信託だけでなく「ETF」を買っているのは少し玄人感もあり、投資系のYouTuberも多く紹介しています。

デメリットも理解しよう

一方で、ETFはデメリットもあります。以下を順番に見ていきましょう。

1)定額でのつみたて投資向いていない
2)配当金再投資がしづらい
3)iDeCoやつみたてNISAでETFは買えない
4)売買手数料がかかる場合がある
5)米国ETFを購入する場合は23時半から市場がオープンするので深夜まで起きていないといけない(サマータイムは22時半)

1)定額でのつみたて投資向いていない
積み立て投資は、ドルコスト平均法という「毎月同じ金額を買い続ける」ことが推奨されます。評価額が高いときも安い時も同じ金額を買うことで、高い時は少なく、安い時は多く買えるので購入価格の平均値を安定できます。投資信託は100円単位で購入価格を変えられますし、毎月同じ購入額に設定できます。

一方、ETFではほとんどの証券会社が自動積み立て設定ができないデメリットがあります。ETFの自動つみたて設定は、SBI証券などでしか行うことができません。また、ETFの場合は、口数単位で購入することになります。単価が随時変化していくので、例えばある時は1口380ドル(1$=108円で計算すると4万1,040円)のETFが、あるときは1口360ドルになっている場合もあれば400ドルになっている場合も有り得るので、一定額で買うことは難しいといえます。

また、毎月定期的に購入するには、1口4万円を超える額を出し続ける必要があり、毎月の投資金額を均一化するには、ETFの値動きを口数の増減で吸収しなければなりません。そのため、100口、200口と非常に大きな金額を投資する必要が出てきてしまい、個人には難しくなります。

2)配当金再投資がしづらい
投資信託やETFを運用していると、分配金がでることがあります。例えば、VOOであれば、1.41%の分配金が出ています(この分配金利回りは、2021年5月現在、直近1年間の分配金合計 ÷ 基準株価で計算)。

この分配金は再投資に回すことで、複利運用の効果を最大化できます。

投資信託であれば、「分配金を再投資する」という設定にすれば自動的に再投資にまわせますが、ETFの場合は再投資する場合に、1口を買える金額になるまで投資に回せないので投資信託に比べると機動力が無く機会損失になります。

また、配当にかかる税金も、いったん手元に現金化されてから再投資するETFのほうが多くかかってしまい不利になります。

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