Market Plus
明日の投資に何か1つ、プラスの価値を――。難しく捉えられがちな投資の話を自分の事として考えるためのマーケット記事です。
半導体をさらに進化させるEUV(極端紫外線)って何?需要拡大で注目される企業をピックアップ
既存半導体の限界を打ち破る技術
デジタルトランスフォーメーションや5G など最新のテクノロジーを支えているのは半導体の高性能化です。特にDRAMや演算処理を行うプロセッサは微細化が進み、高性能化が著しくなっています。1962年にシリコンウエハーという金属の円盤の上にトランジスタを形成する技術が確立されてから約60年が経ちましたが、この間半導体の微細化を可能にし高性能化を牽引してきたのが、微細な回路パターンをシリコンウエハー上に転写する先端露光技術です。
米国の債務上限問題って何?法案が成立しても一安心…とはならない基本的メカニズムを解説
過去の事例と市場の動きを分析
10月7日、米国政府債務の上限を短期的に引き上げることで与野党が合意し、法案成立が見込まれます。しかし、これで問題が解決したわけではありません。このままでは数ヵ月後に同じ事態に陥ることになります。今回は、株価にも影響を与える米国の債務上限問題について解説します。<文:ファンドマネージャー 山崎慧>
日本株に年末ラリーの可能性高まる、株高を予想する5つのポイントを解説
衆院選は10月31日投開票
自民党の岸田文雄新総裁は、10月4日召集の臨時国会で首相指名選挙を経て第100代首相に選出されました。所信表明演説と各党の代表質問を終えた後、衆院を解散し、衆院選に臨むことになります。今後の注目は岸田新政権が次期衆院選挙で勝利し、安定政権を築くことができるかです。
次期政権の難題か…気候変動対応で動き出したEUタクソノミーって何?
「サステナビリティ」のルールメイキング
9月29日に投開票が行われた自民党総裁選で、岸田文雄氏が勝利しました。10月4日の衆参両院での首相指名選挙を受けて、第100代内閣総理大臣に就任します。衆院議員の任期満了後の11月には次期衆院選が行われ、その後の国政を担う新政権が発足する見通しです。サステナビリティへの政策対応の視点から菅政権を振り返ると、グリーン成長戦略の策定をはじめ、約1年間で日本の気候変動対応を大きく推し進めた政権であったと評価することができるでしょう。一方、総選挙後に発足する新たな政権では、気候変動以外のサステナビリティを巡る課題についても、より踏み込んだ対応が求められていく可能性があります。実際に気候変動対応で他国に先行するEU(欧州連合)は、気候変動以外の環境・社会課題の解決に向けた取り組みを既に加速させています。今回はこうしたEUの取り組みの中でも、特に注目される動きの一つである「EUタクソノミー」についてご紹介します。
日本株のESG指数パフォーマンスは良好?年金基金の運用成績からESG投資の未来を考える
GPIF『2020年度ESG活動報告』より
私たちが将来安心して暮らしていくための制度として、年金制度があります。日本の年金制度は現役世代が納める保険料で、その時々の高齢者世代に年金を給付する「賦課方式」が基本です。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)はこの年金積立金を国内外の資本市場で運用し、その運用収益や元本は概ね100年の財政計画の中で、将来世代の年金給付を補うために使われています。
中国恒大集団危機は「第二のリーマンショックにはならない」と断言できる2つの理由
今、中国は失敗できない局面にいる
先週、株式市場では中国の不動産大手、中国恒大集団のデフォルト(債務不履行)懸念から株価が急落、世界同時株安の様相を呈する場面がありました。その後、中国恒大集団が23日に期日を迎える人民元建て債の利払いを実施すると発表したことで市場は安堵し、FOMCの結果が想定内だったこともあって株価は急反発しました。ダウ平均は急落する前の水準に戻り、日経平均も3万円の大台を回復しました。しかし危機的状況は変わっていません。23日期日の人民元建て債の利払いは行われましたがドル建て債は利払いが行われなかった模様です。ただし30日の猶予期間があるためすぐにデフォルトとはなりません。その後も続々と利払い期日が到来し、年内の社債の利払い額はおよそ円に換算すると700億円にのぼります。来年からは社債の元本の満期償還も迎えます。果たして恒大集団は負債返済のキャッシュを確保できるのでしょうか。取引先への未払い分などを含めた恒大の負債総額は1兆9,665億元(約33兆4,000億円)と中国の名目国内総生産(GDP)の約2%に相当する規模です。これだけの負債を抱えた企業が倒産すればその影響は計り知れません。一部では「第二
女性管理職比率が高い企業はなぜ評価できるのか、投資パフォーマンスで比較
SDGs17項目のうちジェンダー平等に注目
近年、自然環境の保全(Environmental Conservation)、上場企業の社会的責任(Social Responsibility)、健全な企業統治(Corporate Governance)を切り口として、企業活動の適正化に着目する、ESG投資への関心が高まっています。また、国際連合が提示している17項目の「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」が、ESGを意識した企業活動等により実現が期待される目標、と捉えられるようになりました。今回は、SDGsのうち、ジェンダー平等に関連して、企業における管理職のうち、女性がどれだけいるかを示す、女性管理職比率に注目したいと思います。
コロナ後には労働力不足が深刻に、多様化する働き方対応で躍進が期待できる銘柄は?
労働者の売り手市場が再び到来
新型コロナウイルス感染症によって、世界各国で急激に失業者が増加しました。その後、ワクチン接種が進み、経済活動が再開されるにつれて失業率が改善しています。アメリカやイギリスでは労働市場がひっ迫し、賃金上昇が発生している状況です。日本でも同じことが起こるかを確認するために、総務省統計局が発表している労働力調査を調べました。
米国テーパリングは年内開始へ、新興国通貨は金融引き締めを乗り越えられるのか
2022年以降の為替市場を展望
今年の為替市場における最大のテーマは米連邦準備制度理事会(FRB)のテーパリング(資産購入の段階的な縮小)のタイミングでしたが、概ね決着がついたと言えそうです。パウエル議長をはじめ多くのFRB関係者が年内開始を支持する発言をしており、市場からそれに異を唱える声はあまり聞かれません。おそらくは、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリングが決定され、12月から開始というスケジュールが有力でしょう。ここでは、FRBのテーパリング後の為替市場、とりわけ新興国通貨の値動きを展望してみたいと思います。
コロナ禍の東南アジアに転換期迫る?フィリピン、インドネシア、ベトナムの現状を確認
米中両大国の思惑の中で
米国・ハリス副大統領が、8月26日に初の東南アジア訪問を終えました。このたびの訪問先は、シンガポールとベトナムの2か国だけでしたが、東南アジアに対する米国の関心の高さがうかがえる外訪でした。バイデン政権が発足して以来、米国は、ブリンケン国務長官やオースティン国防長官を、日韓、東南アジアに派遣してきましたが、この度のハリス副大統領の訪問は、米高官による一連のアジア歴訪の締めくくりとなりました。米国はバイデン政権に代わってから、トランプ政権の時よりも、東南アジア重視する姿勢を示したといえます。おりしも、近年は、米中対立の長期化、南沙諸島海域の領有権に絡む中国とフィリピンやベトナムの対立など、アジア新興国をめぐって問題が山積みとなっています。このたびの米国高官による東南アジア歴訪を機に、今後は、東南アジア、米国、中国の間で、外交関係に変化が出てくる可能性があるとみています。主なアジア新興国のうち、フィリピン、インドネシア、ベトナムについて、国ごとのおかれている現状と注目点について、確認してみたいと思います
日経平均急騰後の行方を占う政治イベント、自民党総裁候補3氏の政策も比較!
自民党総裁選挙、G20、衆議院議員選挙
8月下旬まで世界の株価指数と比較して出遅れ感のあった日経平均株価でしたが、9月に入り一転して急騰しています。9月14日までの10営業日のうち、9月9日以外の実に9営業日で上昇し、上げ幅は2,500円を超えています。相場転換のきっかけは菅首相の自民党総裁選の不出馬表明でした。秋に向けて動き出した国内政治は今後も相場に影響を与えるのでしょうか。大きな政治イベントを中心に、事前に予習していきましょう。
デジタル庁創設で私たちの生活が変わる?民間需要の拡大が見込める3つの政策を解説
10月10~11日は「2021年デジタルの日」
昨年、新型コロナウイルス感染者数報告の一部でFAXが使われていたことが判明し、日本のデジタル化の遅れが顕在化しました。一方で、テレワークの推進、動画コンテンツの拡充、ビッグデータの活用など、この1年でデータの多様化・大容量化が進んでいます。日本のデジタル化対応は喫緊の課題として、デジタル社会の司令塔を担うデジタル庁が9月1日に創設されました。また、10月10日・11日を「2021年デジタルの日」と定め、官民で連携してデジタル関連の技術・サービスを利用した祝祭が実施される予定となっています。<写真:デジタル庁所在地の東京ガーデンテラス紀尾井町/PIXTA>
日経平均株価3万円突破も上昇余地はまだまだあると読む理由
市場参加者のセンチメントが改善、日本株反攻の展開
9月3日の午後、菅首相が自民党総裁選に不出馬の意向が伝わったことを機に相場は上昇ピッチを速め、あっという間に日経平均株価が3万円の水準まで駆け上がりました。しかし、相場の潮目が変わったのは少しさかのぼる8月31日の後場だと筆者は考えています。日経平均株価は前月の7月まで11カ月連続で月末日がマイナスとなっていました。8月31日の前引けが前日比53円安の2万7,736円と、下げ幅が小幅にとどまり、12カ月連続の月末安を意識していた投資家の買戻しを誘ったとみられ、後場は上げ幅を広げる展開でした。市場関係者が注目していた8月27日の米ジャクソンホール会議では、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がオンライン講演し、米量的金融緩和の縮小の示唆と早期利上げを牽制する発言がありました。市場が求める回答をもって無事通過したかたちです。国内では新型コロナウイルス感染者数の増加がピークアウトの様相を呈しつつあり、日本株を売る動機が次第に希薄になりつつある中、支持率低迷に苦しんでいた菅首相不出馬のニュースが飛び込んできたことで相場は一段高の反応を示しました。日本株の頭を抑えていた様々な不安要素という名の
宿泊・飲食産業はもうもたない…内部留保はほぼ枯渇、財務面から見る業界の深刻度
終わりの見えない自粛が日本の文化を蝕む
新型コロナウイルスの日本の新規感染者、重症者はこのところ減少傾向にあります。一方、9月12日に期限を迎える緊急事態宣言は感染者数の「高止まり」を理由に9月30日まで延長される見込みです。2021年は緊急事態宣言のみならず、まん延防止等重点措置のもとで営業時間短縮に加え酒類提供も過料の罰則付きで命令されており、特に東京都では緊急事態宣言とまん延防止等重点措置のいずれも発出されていなかった期間は年初と3月から4月にかけてのわずか3週間ほどとなっています。経済再開に積極的な姿勢を示していた菅首相は自民党総裁選の立候補を見送っており、次期首相の方針によっては緊急事態宣言のさらなる延長や冬場にかけての再発出の可能性も十分想定されます。<文:ファンドマネージャー 山崎慧>
米8月雇用統計が弱い結果でも、米テーパリング年内開始見通しに変更なしと読む理由
バランスとれた米FRBパウエル議長発言
9月3日(金)に発表された米8月雇用統計は、事業所調査ベースによる非農業部門雇用者数(以下 NFP)が前月比23万5千人増と、事前予想中心値の73万3千人増に比べてかなり弱い内容となりました。前月・前々月分は併せて13万4千人上方修正されましたが、この上方修正を含めても、かなり弱い内容です。ただ、米8月失業率は前月の5.4%から、市場予想通りの5.2%まで低下しており、一概に弱いとは言えないと思われます。
日経平均株価3万円回復!株価を上昇させた3つの要因と今後の見通しを解説
今後を占う2つの人事とは
あれよあれよという間に日経平均株価が3万円を回復しました。ついこの間一時2万7,000円を割り込んだ場面がありましたから、急速な上昇に驚かれている方も多いのではないでしょうか。なぜこのように急速に日本株は上昇したのでしょうか?筆者は3つの要因があると考えています。
日本株の転機は近い?過去の値動きパターンから反転時期を読む
9月に向け重要日柄が集中
新型コロナウイルス感染の拡大に歯止めが掛からないなか、トヨタの9月大幅減産の方針が伝わるなど、頼みの企業業績にも不透明感が浮上しています。海外でもコロナ禍からの経済正常化で先行した欧米や中国などで景気スローダウン懸念が意識される場面が増え、「世界の景気敏感株」とされる日本株への逆風も止みません。一方で、好調な企業業績を背景とした割安感は一段と際立つ状況にあり、日経平均ベースの予想PER(株価収益率)は12倍台、PBR(純資産倍率)も1.1倍台とかなりの悪材料を先行して織り込んだとも見られる水準に低下しています。きっかけ次第で大幅な水準訂正になる可能性も小さくないと考えます。今後9月に向けては、そうした転換を促すかもしれないいくつかの重要日柄が集中します。日経平均株価3万円超えの2月高値から約半年を経過し、株式需給の面でも信用期日絡みのポジション整理が一巡しつつあります。9月後半には自民党総裁選が行われる見通しで、その後の総選挙を見据えた経済対策への期待も高まりやすい時期に当たります。
中国は世界経済をけん引できなくなる?原因となる3つの変調を読み解く
7月の主要経済統計はいずれも市場予想から下振れ
新型コロナウイルスの感染再拡大と行動制限強化、製造業活動の減速など、足元では中国経済の変調が浮き彫りになっています。こうした変調の要因を紐解き、中国景気の先行きを考えます。